在宅捜査になった少年事件の流れ・期間をわかりやすく解説
少年事件

法政大学法学部卒業
学習院大学法科大学院修了
アトム法律事務所
アトム市川船橋法律事務所
令和5年1月 西船橋ゴール法律事務所開業
所属:千葉県弁護士会
14歳以上20歳未満の者が、刑法などの刑罰法規に違反した場合、「犯罪」が成立します。事案により警察に逮捕される場合もありますが、逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合などは身柄を拘束せず、在宅で捜査を進める場合も数多くあります。
ただ、14歳以上20歳未満の者の場合、捜査の結果犯罪の嫌疑が認められても、20歳以上の者に適用される刑事訴訟法上の手続ではなく「少年法」が適用されます。
少年は「犯罪少年」と呼ばれ、家庭裁判所に送致され、少年審判の対象となります。これは処罰を目的とするものではなく、少年の健全な育成・保護を主な目的とします。
この記事では、犯罪少年が身柄を拘束されず在宅事件となった場合の手続の流れや、その手続にかかる期間などについて解説します。
目次
逮捕されずに在宅捜査になった場合の少年事件の流れ
早速ですが、在宅事件となった場合の犯罪少年の事件について、手続の流れのポイントを説明しましょう。
補導等されてから警察・検察による捜査段階
少年の被疑者については、なるべく身柄の拘束を避け、逮捕はやむを得ない場合に限るとされています。
このため、犯罪少年であっても、逮捕されることなく、交番や警察署への任意同行が行われ、取り調べのうえ、身柄を引き取るよう保護者に連絡され、その後は在宅事件として捜査が進む場合は珍しくありません。
捜査の結果、罰金刑以下の法定刑の犯罪の嫌疑がある場合、は、警察から直接家裁へ送致されます。
そうでなく、法定刑が拘禁刑以上の犯罪の嫌疑がある場合は、警察からまずは検察官に送致され、さらに検察官による捜査を経て、家裁に送致されます。
家庭裁判所の調査(家庭裁判所調査官)
事件の送致を受けた家裁では、少年、保護者、被害者などの関係者を呼び出して事情聴取を行うなどして、少年をとりまく環境のあらゆる事情を調査します。ここで調査を担当するのが、家庭裁判所調査官という役職の方です。
調査官が聴き取りをするのは、少年の精神状態・健康状態、生育歴、生活状況、保護者の経済状況・教育態度、犯行の経緯、反省の状況、身柄解放後の引き受け態勢などです。
家庭裁判所の審判(処分の決定)
審判開始決定
調査の結果、犯罪事実がないと判明したり、軽微な事案で十分に反省しており審判を行うことが不相当と判断されたりすれば、家裁は審判を不開始とする決定を行います。
一方、何らかの保護処分を検討することが必要と判断した場合は、審判を開始する決定をします。
審判期日
審判期日には、少年、審判官(裁判官)、家庭裁判所調査官、付添人(弁護士)、保護者、親族・担任教師などの審判官の許可を得た関係者が出席し、懇切・なごやかで、少年の内省を促す雰囲気で行われます。
非公開であり、検察官も出席はしません。
調査結果と審判廷での質疑応答、調査官・付添人の意見をもとに、審判官が保護処分を決定します。
事実に争いがなければ、通常は、審判は1回で終わり、その日に審判が下されます
審判の内容
審判の内容としては、次のものがあります。
| 種類 | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| 保護処分 | 保護観察 | 少年を施設に収容せずに、社会内で保護司や保護観察官の監督・指導を受けながら更生を図る |
| 少年院送致 | 少年院において矯正教育を受けさせる | |
| 児童自立支援施設等・児童養護施設への送致 | 児童福祉法上の支援を行うことを目的として設けられた開放的で家庭的な施設に少年を入所若しくは通所させる | |
| 中間処分 | 試験観察 | 直ちに処分を決めることができない場合に、処分を一時留保し、少年を一定期間、調査官が観察する。試験観察期間経過後、改めて審判が行われる。 |
| 不処分 | 犯罪事実が存在しないと認められた場合や、保護処分が不必要と認められた場合 | |
| 都道府県知事・児童相談所への送致 | 少年を児童福祉機関で指導するのが相当と考えられる場合 | |
少年事件の手続きの期間
家裁送致までの期間
逮捕・勾留といった身柄拘束が行われない在宅事件では、捜査開始から家裁送致までの期間に定めはありません。それゆえ、捜査機関の繁閑によって、長くかかる場合もあれば、短期間で送致される場合もあります。
おおむね、1〜2ヶ月程度の場合が多いようですが、事実関係が複雑な場合など事案によっては数ヶ月〜1年以上かかる場合もあります。
家裁送致後の期間
また、家裁送致後も、鑑別所に収容される監護措置のなされない在宅事件であれば、やはり格別の期間制限はないので、送致から審判までの期間は、家裁の繁閑に応じて異なります。
これも事案によりますが、3ヶ月〜6ヶ月が多いようです。
法務省の資料によると、平成27年では、家裁の審理期間は、次のとおりとなっています。
| 1月以内 | 3月以内 | 6月以内 | 1年以内 | 1年超 | 平均 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 監護措置あり | 69.6% | 13.5% | 11.1% | 5.4% | 0.2% | 1.7月 |
| 監護措置なし(在宅) | 11.7% | 55.7% | 30.4% | 2.2% | 0% | 2.7月 |
※法務省「リーフレット・家庭裁判所における少年審判手続について」
少年の在宅事件では弁護士を選任するべき
期間制限のない在宅事件であっても、審判期日まで悠然と構えていれば良いわけではありません。
審判で下される結論は、多くの場合、審判官が審判期日前に決めています。
その審判に事実上大きな影響を与えるのは、調査官による調査の内容です。また。家裁送致前である警察・検察の捜査段階の資料も審判官の判断材料となることはもちろんです。
したがって、万全の対応をとるには、次のような活動が必要です。
少年事件の弁護活動
・警察、検察の取調べにあたって、事実と異なる内容の調書が作成されないよう注意すること
・早期に、被害者への謝罪・弁償を済ませること
・できるだけ早い段階から、被害者との示談交渉を行い、示談を成立させて、宥恕を得ること
・調査官の呼び出しには真摯に応じ、調査に協力すること
・学校や少年の雇主の協力が必要な事案では、早期に協力要請し、審判期日前に応諾を得ること
・弁護士が付添人となり、少年の更生を図るために家裁に協力する立場、あるいは家裁による不当な処分から少年を守る立場から、調査官、審判官に面会し、協議や意見書の提出といった働きかけを行うこと

弁護士
これらの活動を審判期日前に円滑に行うには、弁護士の力が必要です。
西船橋ゴール法律事務所の経験談
“ご相談は早ければ早いほどよい”というのが弊所の考えです。
捜査は突然に始まりますが、上で書いたとおり、警察、検察の取調べにあたって、事実と異なる内容の調書が作成されないよう注意することが、まず何よりも重要です。まずは入口となる事件の大きさが定まっていくのがこの段階だからです。
この段階は、何も知らなかった親御様などご家族からすれば、突然子供が捜査対象となり警察から話を聞かれ、「次回はまた○○日に来てください」と言われ、慌ただしいと思います。まずは子供が事件に関与した(可能性がある)ことにショックをうけたり、詳しく話を聞いたりすることで忙しいと思います。
なので、法的に適切な準備の仕方や次の取り調べの対策について、弁護士から法的助言を受けるべきことについて、なかなかそういった発想に至らなかったり、まだ次の取り調べを受けてからでいいか…と後回しにしたりしがちです。
しかし、ご相談は早めがベストです。警察や検察というプロの取り調べ官に対し、素人だけで立ち向かうには、素人がプロのボクシングに参加するのと同じくらい不利だと言われています。大人でも、無実の方がなぜか罪の告白をしてしまったという例をよく耳にするかと思います。まして中高生については、一層のサポートが必要です。
調査官調査に向けて
調査官に対し、どういった態度で臨み、何を伝えるかはとても重要です。
調査官は、お話を聞きながら、その子が問題行動に至ってしまったバックグラウンドはどこにあるのか、そしてその背景・原因を改善可能なのかを見ています。何も知らずにただ調査に向かい問題をそこで始めて見つめるのと、先に弁護士とともに問題点を深堀りし家族を含めて協議し今後の対策もきちんと考えて(あるいは改善策を実施して)から調査に臨むのとでは、結果に大差が生じ得ます。

弁護士
少年事件では、たとえ在宅事件であっても、弁護士に相談し、その助力を得ることがおすすめです。ぜひ一度西船橋ゴール法律事務所にご相談ください。
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