盗撮で退学?高校生が盗撮で逮捕された場合、処分はどうなる?
盗撮

平成17年3月 東京都立上野高等学校卒業 平成23年3月 日本大学法学部法律学科卒業 平成26年3月 学習院大学法科大学院修了 平成27年9月 司法試験合格 アトム市川船橋法律事務所 令和5年1月 西船橋ゴール法律事務所開業 所属:千葉県弁護士会
「高校生が盗撮で逮捕された」
今や、こんな事件は珍しくありません。
ただ、犯人が高校生となると、「大人と同じく刑罰を受けることになるのか?」「高校を退学になってしまうのか?」など、高校生特有の疑問・悩みが湧いてきます。
このコラムでは、高校生が盗撮で逮捕された場合の犯罪の成否、裁判所での手続き、退学処分などの基本的な知識を説明します。
目次
高校生の盗撮は何罪になるのか?
高校生の年齢は、通常15歳〜18歳であり、刑事責任能力(14歳以上)が認められます。
それゆえ刑法犯に限らず、刑事罰が定められた法律に違反すれば、犯罪が成立します。
盗撮行為は、性的姿態撮影等処罰法(※1)が定める「性的姿態等撮影罪」(2条1項1号イ)や、地方自治体の「迷惑防止条例」違反に該当する場合(※2)があり、たとえ高校生の行為であっても、これらの犯罪に該当します。
※1:正式名称は、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」
※2:例えば、東京都の場合、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」が制定されており、公共の場所・乗り物・人の住居・風呂・トイレ・更衣室などで下着や身体を撮影する行為などを禁止しています(5条1項2号)。
高校生でも逮捕をされてしまう
盗撮行為が犯罪である以上、行為者が高校生であっても、犯罪の嫌疑があれば警察によって逮捕されます。

弁護士
ただし、20歳に満たない「少年」には、少年法が適用されます。
20歳以上の大人に適用される刑事訴訟法の刑事手続は、刑罰を実現すること等を目的としています。
ですが、少年法の手続きはこれと異なり、少年を保護して健全な育成を図ることが目的です。
少年法の適用を受ける事件が、いわゆる「少年事件」です。
14歳以上で犯罪を犯した少年は「犯罪少年」とされ、刑罰法規による処罰の対象となります。
つまり、高校生が盗撮行為を行った場合、この「犯罪少年」に該当しますので、刑罰法規による処罰対象ですが、20歳以上の場合とは異なる少年法上の手続きを受けるのです。
盗撮で逮捕後の流れ・処分
家庭裁判所への送致
高校生が逮捕されると、犯罪少年として警察の取り調べを受けます。
その結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑ありと判断されれば直接に家庭裁判所へ送致され、それ以外の死刑や拘禁刑にあたる犯罪の嫌疑ありと判断されればいったん検察庁へ送致されます。
性的姿態撮影等処罰法でも、東京都の迷惑防止条例でも、盗撮の法定刑には「拘禁刑」があるので、警察は事件を検察官に送致します。
送致を受けた検察が「犯罪の嫌疑」ありと判断すれば、事件を家庭裁判所に送致します。
こうして、犯罪少年の場合は、原則として全事件が家庭裁判所に送致されます(全件送致主義)。
家庭裁判所の監護措置
送致を受けた家庭裁判所は、少年鑑別所への収容(=観護措置)を実施するか否かを判断します。
少年鑑別所は処罰する場所ではなく、来たるべき家庭裁判所の審判を行うために、少年を観察・調査し、身柄を確保した上で、犯罪仲間の誘い・接触・親からの暴力等を防ぐなど、様々な機能を担う場所です。
少年鑑別所での2〜4週間という期間内に、少年をとりまくあらゆる事実が調査されます。
この調査結果などに基づいて、家庭裁判所が少年を審判に付するか否かを決定します。

弁護士
犯罪の嫌疑がないと判断した場合や、事案の軽微さや十分な反省から審判に付することが相当でない場合は、審判は行われません。
検察官への逆送
一定の場合、家庭裁判所から、逆に事件を検察官に送致する場合があり、これは「逆送」と呼ばれます。
高校生による盗撮犯罪でも、特定少年(18歳または19歳)の事件で、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、逆送の可能性があります。
逆送事件を受け取った検察官は、20歳以上の大人の刑事事件と同様の刑事手続きを進めていきます。
家庭裁判所での審判
少年審判は非公開で、検察官は原則出席しません。法廷とは異なり、教育的配慮が求められます。
審判で下される処分には以下の種類があります。
審判で下される処分
・保護観察
・少年院送致
・児童自立支援施設等または児童養護施設への送致
・都道府県知事または児童相談所送致
・試験観察(中間処分)
・不処分
■保護処分
・保護観察
→施設に収容されることはなく、通常の社会生活を送りながら、保護観察官や保護司の指導・監督のもとで更生を目指す処分です。
・少年院送致
→身柄を少年院へと移し、社会復帰や再犯防止に向けた専門的な矯正教育を受けさせる措置です。
・児童自立支援施設等または児童養護施設への送致
→比較的自由で家庭的な環境の施設(児童自立支援施設など)に入所、あるいは通所させ、児童福祉法に基づいたサポートを行います。
・都道府県知事または児童相談所送致
→少年法上の処分よりも、児童相談所などの専門的な福祉機関による指導やケアが適していると判断された場合の手続きです。
■試験観察(中間処分)
→処分を直ちには決められない場合に、一時的に処分を留保し、一定期間、調査官に観察させる手続きです。試験観察期間経過後、改めて審判を行います。
■不処分
→犯罪事実が存在しないと認められた場合や、保護処分が不必要と認められた場合です。
盗撮で高校を退学になるのか?

弁護士
高校生が盗撮事件で逮捕された場合、高校を退学処分となるか否かは、学校の裁量によって決まります。
学校教育法11条は「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる」と定めています。
これを受けて、学校教育法施行規則26条2項は「性行不良で改善の見込がないと認められる者」「学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者」を退学処分とできると定めます。
盗撮犯罪で逮捕された場合でも、これまでの行状、犯行の内容、被害の状況、事件後の反省の真摯さ、被害者との示談の成立、学内の他の生徒への影響、審判の内容などを総合的に考慮し、これらの場合に該当すると判断されるか否かによって、退学処分の可否が決まることになります。
少年の盗撮事件を弁護士に相談をするメリット
少年の権利保護者としての役割
弁護士は、少年事件においては「付添人」を担当します。
付添人は、少年の権利を保護する役割(大人の刑事事件の弁護人と同じ役割)を担います。

弁護士
家裁送致前の捜査の段階で弁護士がつけば、取り調べを受ける際の注意点や、黙秘権などの少年が行使できる権利についてのアドバイスを行います。
否認事件や、違法な捜査が行われた事案では、無実を明らかにし、審判手続の適正を確保するべく、捜査機関や裁判所と争う場合もあります。
少年の更生支援者としての役割
また、付添人は、少年の健全な育成・更生に助力する役割も担います。
更生を助けるために、家庭・学校・職場などと連絡を取り合い、立ち直るための生活環境を整える活動を行います。
この役割の局面では、保護者、調査官、裁判官とも協力関係となります。
審判で、保護観察・不処分といった、社会内での生活を継続して更生する機会を得るには、少年が立ち直るための環境整備が不可欠です。
また、被害者との示談を成立させ、宥恕を得る(許してもらう)ことも重要です。
付添人となった弁護士は、これらを実現するためにも活動するのです。
盗撮・少年事件は弁護士へ相談を
これまで解説してきた通り、高校生による盗撮事件は、大人の刑事手続きとは異なる「少年手続」によって進められます。
また、法的な処分だけでなく、学校からの退学処分(あるいは自主退学の勧告)という、少年の今後の人生を大きく左右する現実的なリスクにも直面することになります。
少年(お子様)が過度な不利益を被らず、もう一度やり直すチャンスを得るためには、「いかに早く適切な対応をとれるか」が極めて重要です。
お子様のこれからの人生を守るために必要なこと
- ✅ 再犯防止のための環境づくり
- ✅ 被害者の方との迅速な示談交渉
- ✅ 学校側への丁寧な事情説明と、退学回避に向けた働きかけ
これらは、法律と少年事件の知識を持った弁護士だからこそ、迅速かつ適切にサポートできる領域です。
お子様の未来と学校生活を守るための第一歩として、まずは一刻も早く、弁護士へご相談ください。
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