警察署の呼び出し|少年・親は何をする?理由は?服装や時間なども解説
少年事件

法政大学法学部卒業
学習院大学法科大学院修了
アトム法律事務所
アトム市川船橋法律事務所
令和5年1月 西船橋ゴール法律事務所開業
所属:千葉県弁護士会
お子さんと親御さんが、警察署の少年課から出頭するよう呼び出しを受けることがあります。おそらく、親御さんにとっては驚愕する事態でしょう。
「何のために呼ばれるのか?」「応じるべきなのか?応じないとどうなるのか?」「どんな服装で行くべきか?」「どのくらい時間がかかるのか?」など、様々な疑問・不安・心配で胸が押しつぶされる思いでしょう。
この記事では、そのような疑問に答え、不安と心配を払拭するために、警察署からの呼び出しに関する基礎知識を解説します。
目次
少年課・少年法について
まず、少年課とは、一般に、少年の犯罪事件を捜査したり、少年の保護育成を図ったりする職務を担当する警察部署を言います。
例えば、警視庁では、生活安全部の中に「少年刑事課」と「少年育成課」が設置されています。
そして、少年には、原則として、刑罰を目的とする刑事訴訟法の手続と異なり、少年を健全に育成するための保護を目的とした「少年法」が適用されます。
20歳未満の者が、少年法の対象となる「少年」です。
少年や保護者が少年課に呼び出されるのも、少年法やこれに関連する法令等が定める手続の一環です。
呼び出しの目的は、少年が法律上どのような立場にあるかによって異なります。
次の段落では、少年法が区分する少年の種類に分けて説明します。
非行少年とその保護者が少年課に呼び出される理由
まずは、少年法の定める「非行少年」について説明します。
非行少年とは?
非行少年とは、「犯罪少年」「触法少年」「ぐ犯少年」を指します。
非行少年の種類
・犯罪少年…罪を犯した14歳以上20歳未満の少年
・触法少年…刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の少年(※ややわかりづらいところですので補足します。刑事責任を問われる年齢に達していないので「犯罪」という扱いではありませんが、大人の犯罪にあたる行為を、14歳未満の子がおこなったという意味です。)
・ぐ犯少年…家庭に寄り付かない、犯罪者等と交際するなどの事由があり、性格や環境から判断して、将来罪を犯すおそれがあると認められる少年
非行少年とその保護者が呼び出される理由
非行少年のうち、犯罪少年は刑事事件の「捜査」の対象となりますから、取り調べのための呼び出しを受けることがあります。
他方、触法少年、ぐ犯少年は、犯罪ではありませんが、警察による事実内容や非行原因の「調査」対象となり、「質問」を受けるなどのために呼び出されます。
また、非行少年の保護者は、次のような理由で呼び出されます。
✅ 少年の取り調べ・質問の際に、少年に無用の緊張・不安を与えることを避け、落ち着いて事実を話せるよう、保護者の同道や立会いを求める場合
✅ 保護者からも、事実関係・少年の性格・生活環境・家庭状況などを聴取する場合
✅ 少年の立ち直りを支援するべく、保護者に制度・手続について説明したり、今後の監督指導についての助言を行ったりする場合
不良行為少年の保護者が少年課に呼び出される場合
不良行為少年とは
不良行為少年とは、非行(犯罪・触法・ぐ犯)には当たらないが、飲酒・喫煙・家出・深夜徘徊などの、自己または他人の徳性を害する行為を行っている少年です。
不良行為少年に対しては、これを発見した警察が街頭補導を行います。
不良行為少年の保護者が少年課に呼び出される理由
不良行為少年の保護者が呼び出されるのは、街頭補導を受けた少年を保護者に引き継ぐ場合や、その後も継続補導(継続的な助言・指導)を実施するための同意を保護者から得る場合です。
これは、不良行為の現状を保護者に告知して適切な監護の実施を促すこと、保護者と警察が連携して少年の規範意識を高め、不良行為の再発や将来の非行を防止するためです。
少年が被害者などの場合
少年課による少年本人や保護者の呼び出しは、少年自身が非行や不良行為をした場合だけに限りません。
たとえば少年自身が被害者となった場合です。
被害少年の本人や保護者の呼び出し理由
犯罪やその他少年の健全な育成を阻害する行為の被害者となってしまった少年を「被害少年」と呼びます。
被害少年には、被害事実を確認するために事情を聴取したり、被害による精神的な打撃などからの立ち直りを支援したり、再度の被害を防止するための指導をしたりする目的で呼び出しが行われます。
この際、保護者は、少年の心理的負担を軽減する目的での同行・立ち会いや、カウンセリング等の継続的な支援開始に同意を得る目的などから、呼び出しを受けます。
目撃者などの参考人としての呼び出しも
この他にも、たとえば、少年が犯罪の目撃者になってしまった場合には、刑事事件の参考人として事情聴取のために呼び出されます。
その際、やはり少年の精神面に配慮して、保護者の同行、立会が求められます。
警察に呼び出された場合の正しい対応
呼び出しには応ずるべき
呼び出しを受けたなら、少年本人は進んで出頭するべきですし、保護者は同行することをお勧めします。
少年法は、少年を罰するためではなく、保護し、健全な育成をするための制度です。呼び出しに応じなければ、不利益を受ける危険があります。
また、警察による無理な取り調べや質問が行われることを抑制するためにも、保護者が同行することが望ましいです。
少年課からの呼び出しを無視するとどうなる?
犯罪の捜査にあたっては、少年の被疑者は、やむを得ない場合を除きなるべく身柄の拘束を避けるとされています。
しかし、取り調べのための呼び出しを無視すれば、逃亡や証拠隠滅のおそれがあり、身柄拘束もやむを得ないと判断されて逮捕されてしまう危険があります。
また、触法少年、ぐ犯少年の場合も、呼び出しに応じない態度では、今後、家庭裁判所において監護措置決定を受けて、少年鑑別所で身柄を拘束されてしまう危険があります。
なお、少年が素直に呼び出しに応じても、捜査・調査の結果、重大犯罪への関与が判明したり、逃亡・証拠隠滅のおそれが高いと判断されたりすれば、逮捕されることがあります。そのため、弊所では、取り調べを迎える方からご相談・ご依頼を受ける場合には、逮捕が不要であることを弁護士からも主張し、弁護士の監督等を主張することで、まずは逮捕回避することを大事にしています。
服装について
呼び出されたときの少年本人、保護者の服装については、格別に正装や背広姿である必要はありません。
しかし、奇異な装いは、それだけで不適切な生活環境を疑われてしまう危険があります。奇抜な服装、派手な服装は避けるほうが無難です。
拘束時間について
取り調べ、調査を受ける時間については、事案によって異なるので一概に何時間とは言えません。午前から呼ばれた場合は、午前中いっぱいか、昼休憩をはさんで午後もということもあります。
もっとも、そもそも取り調べは、やむを得ない理由がある場合の他は長時間にわたり行うことは避けなくてはならないとされ、1日につき8時間を超える時は警察本部長または警察署長の承認が必要とされています。
さらに少年の被疑者については、長時間に渡らない配慮が要求されています。
触法少年、ぐ犯少年への質問についても長時間の質問は避けるとされています。
ただ、警察が少年や保護者の供述調書を作成するときは、聞き取った内容を文章化したうえで、その内容を読み聞かせ、間違いがないか確認し、そのうえで署名指印させるという一連の作業が必要ですので、その分必要な時間がかかります。
少年課からの呼び出しは弁護士に相談を
少年課からの呼び出しを受ければ、少年本人はもちろん、保護者も自分のこと以上に心配でしょう。
ただ、これまで説明したとおり、呼び出しがあっても少年が違法行為をおこなったとは限りませんし、仮に違法行為などがあった場合でも、少年法の手続きは、刑事罰という制裁を目的としたものではありません。
それでも不安が払拭できない場合は、指定された日時に出頭する前に、弁護士に相談することがおすすめです。
少年事件では、弁護士は「付添人」という役割を果たします。これは少年の保護育成のために、保護者や家庭裁判所と協力して、適正な保護処分がなされるよう活動する役割です。
もちろん、捜査機関が違法な取り調べをしたり、裁判所が事実と異なる少年の非行を認定したりする場合には、捜査機関、裁判所に異議を唱え、少年の権利を守る役割でもあります。

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