夫の退職金は財産分与に含まれる?|離婚時の退職金の扱いについて弁護士が解説

夫の退職金は財産分与に含まれる?|離婚時の退職金の扱いについて弁護士が解説

夫の退職金は、定年退職前であっても、条件を満たせば財産分与の対象になる可能性があります。


退職金が「これから支払われる予定のお金」であっても、婚姻期間中に形成された部分については、離婚時の財産分与として請求できるケースがあります。

この記事でわかること

• 退職金は財産分与の対象になるのか
• 定年退職前・未支給の退職金はどう扱われるのか
• もらえる金額・割合・タイミング
• 話し合い・調停・裁判での考え方


川口晴久
弁護士

離婚事件に詳しい弁護士がわかりやすく解説していきます。

財産分与と退職金の基本|まず知っておきたい考え方

そもそも退職金は財産分与に含まれるの?


結論から言うと、夫の退職金が財産分与の対象になるケースはあります。
たとえ離婚時点で退職金が「まだ支給されていない将来のお金」であっても、一定の条件を満たせば財産分与として請求できる可能性があります。
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産を、離婚時に公平に分ける制度です。
退職金も、婚姻期間中の労働の対価(賃金の後払い的性格)と考えられるため、財産分与の対象になり得ます。

夫の退職金が財産分与に含まれるケース

婚姻期間中に積み上がった退職金はどう扱われるの?



財産分与で最も重要なのが、婚姻期間です。
裁判所は一般的に、退職金のうち、婚姻期間中に増加した部分を財産分与の対象と判断します。

• 勤務期間:40年
• 婚姻期間:30年
という場合、
退職金全体のうち「30/40」が財産分与の対象部分となる

裁判所はどう判断している?対象になりやすいパターン


裁判例では、次のような事情が考慮されます。
✅ 退職金の支給がほぼ確実
✅ 夫婦が同居し、家事・育児などで協力してきた
✅ 配偶者の寄与が認められる


川口晴久
弁護士

特に熟年離婚では、退職金が財産分与の中心的な争点になることが多く、家庭裁判所でも慎重な判断がなされます。

まだ受け取っていない退職金も分けてもらえる?


「退職金は将来もらう予定のお金だから、財産分与できないのでは?」
と不安に思う方も多いですが、支給予定がある程度確定していれば、対象になる可能性があります。


✅ 定年退職が近い
✅ 勤務先の退職金制度が明確
✅ 見込額の計算が可能
このような場合、離婚時ないしは別居時に自己都合退職した場合の退職金額を試算し、財産分与として評価する方法が取られることがあります。

夫の退職金が財産分与に含まれないケース

対象外と判断されやすい退職金の特徴


一方で、次のようなケースでは財産分与の対象外と判断される可能性があります。

対象外と判断されやすいケース

  1. 婚姻前の勤務期間に対応する部分
  2. 離婚後・別居後に新たに積み上がった部分
  3. 支給の可能性が極めて不確定な退職金

川口晴久
弁護士

すべての退職金が財産分与になるわけではない点には注意が必要です。

公務員の退職金は特別?扱いが変わるポイント


公務員の退職金は制度が明確で、支給予定も比較的確定しているため、財産分与の対象として認められやすい傾向があります。
ただし、
• 勤務期間
• 婚姻期間
• 支給時期
によって対象部分は変わるため、詳しくは弁護士にご相談ください。

退職金は別居後・離婚後に支給されるけど、もらえるの?

「退職金が支給されるのは離婚した“あと”だけど、それでも財産分与として考えてもいいの?」
こうした疑問は、熟年離婚を考える方からとても多く聞かれます。

結論から言うと、支給された時期が離婚後であっても、財産分与の対象になる可能性はあります。

川口晴久
弁護士

ポイントは「いつ支給されたか」ではなく「いつ形成されたか」です。

退職金は、定年退職のタイミングでまとめて支給されることが一般的ですが、

その性質は長年の勤務の積み重ねに対する後払いの賃金と考えられています。

そのため、夫が働いていた期間のうち夫婦として生活していた婚姻期間中に積み上がった部分については、
たとえ退職金の支給が別居後や離婚後であっても、財産分与として請求できる可能性があるのです。

財産分与ではお金が実際に手に入った時期だけで判断するわけではないため、「もう離婚したのだから、退職金は全部夫のもの」ということにはなりません。

大切なのは、
✅ 退職金がどのくらいの期間をかけて形成されたか
✅ その中に、婚姻期間がどれくらい含まれているか

という点です。

この考え方を知っているかどうかで、退職金の扱いに対する見通しが大きく変わることもあります。

離婚時、退職金はいくら分けてもらえる?

退職金の財産分与はどう計算する?

退職金の財産分与の流れ


一般的な計算方法は以下の流れです。

  1. 退職金の見込額を算定
  2. 婚姻期間に対応する割合を算出
  3. その金額を夫婦で分与(原則2分の1)
    ただし、事情や寄与によって割合が調整されるケースもあります。

退職金の分与例

• 退職金見込額:2,000万円
• 勤務期間:40年
• 婚姻期間:30年
→ 対象部分:2,000万円 × 30/40 = 1,500万円
→ 妻の取り分(原則):約750万円



川口晴久
弁護士

この金額は、老後資金として大きな意味を持ちます。

退職金と年金分割は何が違う?|役割と受け取り方


離婚時に検討するお金として、退職金と年金分割は混同されがちですが、法律上も実務上もまったく別の制度です。

まずは、それぞれの性質を整理しておくことが大切です。

退職金は「財産分与」として清算するお金


退職金は、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた成果と考えられ、財産分与の対象として扱われます。
定年退職前であっても、支給が予定されている場合には、婚姻期間に対応する部分を計算し、離婚時に金額や割合を決めて清算するのが一般的です。
受け取り方は、一括払いだけでなく、将来の支給時に分割して受け取る「後払い」とするケースもあります。

年金分割は「将来の年金記録」を分ける制度


年金分割は、厚生年金の保険料納付記録を夫婦で分け合う制度です。
こちらは離婚時にお金を受け取るものではなく、将来、年金として毎月受け取る額に反映される仕組みです。
分割割合が決まっても、実際の受給は原則として年金の受給開始年齢以降になります。


✅ 両方を整理すると、生活設計が立てやすくなる
退職金は離婚前後の生活資金や当面の安心につながり、年金分割は老後の安定した収入を支える役割を持っています。
それぞれの制度の違いを理解し、「今のお金」と「将来のお金」を分けて考えることで、離婚後の生活設計を無理なく組み立てることができます。

財産分与で退職金を請求する流れ

退職金の財産分与の流れ

退職金を財産分与として受け取るまでの進め方は、大きく3つの段階に分かれます。
基本は「話し合い」から始まり、まとまらなければ「調停」、それでも難しければ「裁判」へ進みます。

① まずは夫婦で話し合う(協議)

最初に行うのは、夫婦間での話し合いです。
この段階では、
✅ 退職金を財産分与の対象にするか
✅ する場合、どのくらいの割合を受け取るか
✅ いつ・どのように支払うか(退職時に後払い/分割など)
を話し合って決めます。

退職金は「まだ受け取っていないお金」であることも多く、
取り決めの仕方によっては、将来受け取れなくなるケースもあります。


川口晴久
弁護士

そのため、合意内容は口約束にせず、書面として明確に残すことが重要です。

この段階で一度弁護士に相談しておくと、
「その合意内容で大丈夫か」「書き方に漏れはないか」を確認でき、
後々のトラブルを防ぎやすくなります。

② 話し合いが難しければ家庭裁判所の調停へ


夫婦だけの話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の「離婚調停」を利用します。
調停では、裁判官と調停委員が間に入り、双方の意見を整理しながら話を進めます。

ここで重要になるのが、退職金に関する資料の整理です。

たとえば、
✅ 勤務先に退職金制度があるか
✅ これまでの勤務年数
✅ 現時点での退職金の見込額
などをもとに、
「婚姻期間中に形成された退職金部分がどれくらいか」を検討します。

退職金の計算や資料の集め方は分かりにくいため、弁護士が関与することで、必要な資料の範囲や主張の整理がスムーズになります。

③ 調停でも決まらない場合は裁判で判断

調停でも合意に至らない場合は、裁判で最終的な判断がなされます。
裁判では、

✅ 退職金制度の内容

✅ 婚姻期間と勤務期間の関係

✅ 将来、実際に退職金が支払われる可能性

などを踏まえ、退職金を財産分与の対象に含めるか、どの範囲まで認めるかが判断されます。

この段階では、法律的な整理や主張の組み立てが必要になるため、弁護士のサポートがあることで、判断材料を的確に裁判所へ伝えやすくなります。

退職金は、老後の生活設計に大きく関わる大切な財産です。
離婚時に一度きちんと整理しておくことで、離婚後の生活を落ち着いて考えることができます。

「自分の場合、退職金は対象になるのか」
「どの段階で、どんな準備が必要か」
気になる点があれば、早めに専門家へ相談することも一つの選択肢です。

退職金について弁護士に相談するメリット

離婚問題を西船橋ゴール法律事務所の弁護士に任せるメリット


退職金が絡む財産分与は、金額が大きく、判断が難しい問題です。
弁護士に相談することで、以下のメリットがあります。

✅ 財産分与の対象になるか正確に判断できる

✅ 適切な計算方法・割合を検討できる

✅ 相手との交渉・調停・裁判を任せられる

✅ 不利な条件で合意してしまうリスクを防げる

熟年離婚では、退職金の扱いによって離婚後の生活設計が変わることも多いため、財産分与としてどこまで請求できるのかを事前に整理しておくことが安心につながります。


川口晴久
弁護士

早めの法律相談が、将来の安心につながります。

まとめ|退職金で損をしないために離婚前に確認したいこと


最後に、財産分与と退職金で後悔しないためのチェックポイントです。

退職金についてのチェックリスト

  1. 婚姻期間と勤務期間を整理する
  2. 退職金制度と見込額を確認する
  3. 支給時期・後払いの可否を考える
  4. 迷ったら弁護士に相談する

退職金は、あなたのこれからの生活を支える大切なお金です。
一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら、納得のいく解決を目指しましょう。

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千葉県船橋市の離婚弁護士 西船橋ゴール法律事務所はこれまで100件を超える多くの夫婦問題・離婚問題を解決に導いて参りました。
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