離婚時、妻の立場では「自分に支払い義務があるのか」「離婚後も住み続けられるのか」が大きな不安となります。

弁護士
この記事では、持ち家について、離婚前に必ずチェックしておきたいポイントを整理しました。

平成17年3月 東京都立上野高等学校卒業
平成23年3月 日本大学法学部法律学科卒業
平成26年3月 学習院大学法科大学院修了
令和5年1月 西船橋ゴール法律事務所開業
目次
離婚する時、妻が住宅ローンについて確認すべきポイント

✅ 住宅ローンの名義人は誰か?
ローン契約の名義人が「夫のみ」「妻のみ」「夫婦共同(ペアローン)」なのかを確認しましょう。
名義人によって返済義務の有無や家の所有権が変わります。
✅ 妻が連帯保証人になっていないか?
夫が債務者であっても、妻が連帯保証人や連帯債務者になっている場合は、支払い義務を負う可能性があります。
ここに注意!
妻が連帯保証人や連帯債務者になっていると、離婚後に夫が滞納すれば、金融機関から妻に請求が来るリスクがあるため注意してください。
✅ 家の名義(所有権)は誰のものか?
不動産の登記簿謄本を取り寄せ、所有者が誰なのかを確認しましょう。
名義が夫であれば、離婚後は妻がそのまま住み続けることは原則できず、名義変更や夫の同意が必要となります。
✅ 家の価値とローン残高の差を把握する
不動産会社に査定を依頼して、現在の家の市場価格を確認しましょう。
住宅ローンの残高と比較して、「アンダーローン(資産あり)」「オーバーローン(残債あり)」のどちらなのかを判断しましょう。

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この差によって、財産分与での扱い方が大きく変わります。
✅ 売却か住み続けるかの方針を決める
離婚後に「売却するのか」「夫が住み続けるのか」「妻が住み続けるのか」を話し合って決めましょう。
住み続けたい場合は、住宅ローンの借り換えや名義変更等が必要になります。
✅ 生活費と住宅ローンの関係を整理する
別居中に夫が住宅ローンを払い続けている場合、それを「生活費に含めるのかどうか」が問題になります。
✅ 弁護士や専門家に相談する
金融機関との契約内容は一般人には分かりにくいため、弁護士や不動産会社に相談することでトラブルを未然に防げます。
財産分与や慰謝料と合わせて「どう解決するのが一番有利か」を判断するためにも、専門家の力を借りるのがおすすめです。
住宅ローンについて確認すべきポイント
✅ ローンの名義
✅ 保証人の有無
✅ 家の所有者
✅ 残債と資産の差
✅ 今後の方針
離婚時の住宅ローン返済義務は誰にある?
住宅ローンの支払い義務は契約時の名義人や契約形態によって異なります。
済義務を負うのは誰なのかを確認しましょう。
1.名義人が夫の場合
住宅ローン契約の債務者が夫のみであれば、原則として妻には直接的な支払い義務は発生しません。
2.ペアローンの場合
夫婦がそれぞれ債務者となっているペアローンでは、妻も自分の分の支払い義務を負います。
ペアローンの特徴は、互いが連帯保証人になっているケースが多く、相手が支払えない場合には代わりに支払うリスクがある点です。
3.妻が連帯保証人になっている場合
妻が直接の債務者ではなくても、夫がローンを滞納した場合、金融機関は連帯保証人である妻に返済を請求できます。
連帯保証人は借金を負うのとほぼ同じ義務を負うため、離婚後も債務のリスクを抱え続けることになります。
離婚後家を売却する場合の残債はどうなる?
家を売却すると、住宅ローンが残っている限り、 売却代金がまず住宅ローンの残高の弁済に充てられ、その上で抵当権が抹消されます。
売却代金で残債が完済できれば金融機関は抵当権を外します。
逆に売却代金で完済できない(=オーバーローン)場合、残った「残債」は借り入れ契約の当事者や連帯保証人に残り、金融機関は引き続き請求できます。
ケース別:残債が誰に残るか(離婚・名義・契約形態ごと)
■ 名義人=夫、妻は何も契約していない場合
完済できない場合の残債はローン契約の債務者(=夫)に残ります。ただし妻が連帯保証人になっていると妻にも保証債務が残ります。
■ 妻が連帯保証人になっている場合
たとえ名義が夫だけでも、妻が連帯保証人なら夫が滞納したとき金融機関は妻に残債の支払いを請求できます。
任意売却であっても連帯保証人の同意が必要になり、売却後も連帯保証人の責任は残ります。
■ ペアローン・連帯債務(夫婦が共同で債務を負う)
夫婦双方が債務者である場合、双方に返済義務(支払い義務)があるため、売却しても残債があると両者に影響します。
連帯債務だと、片方だけが返したとしても抵当権抹消には双方の債務処理が必要になるケースがあります。

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結果として、共有名義のまま放置しておくとトラブルになりやすいです。
■ 共有名義での売却(持分ごとに分配)
共有名義の場合、売却代金は持分に応じて精算されます。
売却益が出れば財産分与の対象となり、税制(譲渡所得の特例など)や贈与課税の問題にも注意が必要です(共有者ごとに税の適用が判断されます)。
■ オーバーローン(売却代金で完済できない)
選択肢は主に、
(1)任意売却で債権者と協議する
(2)競売にかかる
(3)誰かが残債を一括で返済する
(4)任意整理等の処理を行う
などです。任意売却は競売より高く売れやすく、交渉次第で残債の扱いを柔軟にできる場合がありますが、金融機関・連帯保証人の同意が必要です。
離婚時の持ち家の売却の流れ
以下は一般的な売却の流れですが、離婚・ローン残債の有無に応じて金融機関や弁護士・不動産会社とのやり取りが加わる点に注意してください。
1.ローン残高・契約内容の確認
金融機関からローン残高証明書等を取り寄せ、抵当権の有無、連帯保証人や連帯債務の有無を確認しましょう。
これが売却可否・方法の出発点でとなります。
2.不動産の査定(時価額の確認)
複数の不動産会社に査定を依頼して現在の売却可能な価格帯を把握します。
売却想定額が残債を上回るのか下回るのか(アンダー/オーバー)を判断します。
3.売却方法の選択(通常売却/任意売却/競売)
アンダーローンなら通常売却で抵当権抹消→完済が目標になります。
オーバーローンの場合は任意売却を検討し、最悪の場合は競売の手続きに進みます。
任意売却は金融機関と交渉して債務処理を調整する方法です。
4.金融機関との調整(抵当権抹消・残債処理の協議)
抵当権を外すために、売却代金での完済か、金融機関の同意(任意売却の場合)あるいは別途和解案を取り付ける必要があります。
連帯保証人の同意や債務整理の要否もここで明らかになります。
5.売買契約・決済(引渡し)
売買代金の決済の際、買主の支払金で残債を一括返済して抵当権を抹消します(アンダーローン)。
任意売却や残債処理がある場合は、決済内容を金融機関との合意書に基づいて進めます。
必要書類や税金(譲渡所得等)の確認も忘れないように気をつけてください。
離婚時の持ち家の売却の注意点

✅ 抵当権は完済か金融機関の同意がないと抹消できない
抵当権を外す=買主に完済した状態で引き渡せるようにするため、完済か債権者(銀行等)の合意が必須です。
連帯保証人がいる場合は同意・説明が必須です。(任意売却の場合、特に重要)
任意売却を行う場合、連帯保証人の同意を求められることが多く、売却後も連帯保証人の責任が残るため、連帯保証人になっている妻は特に注意が必要です。
✅ ペアローン・連帯債務は“自分だけ返せば終わり”になりにくい
片方が支払をしても、抵当権抹消や債権処理の点で問題が残ることがあるため、合意書や清算方法を弁護士に作ってもらうのが安全です。
✅ 売却益(または不足)の分配と税務・贈与のリスク
売却で利益が出た場合は財産分与の対象となり、共有持分の扱いや譲渡所得の特例等、税務上の取り扱いを確認しておく必要があります。(共有者ごとに判断される点に注意しましょう)
✅ オーバーローンなら任意売却・競売・債務整理など複数の選択肢を比較する
任意売却は競売より有利なことが多いですが、金融機関との交渉力や不動産会社の選定が重要になります。
競売になると市場価格より安価になるため、余計な負担が残る可能性があります。
✅ 「名義変更でローンが無くなる」は基本的にできない
借入契約は銀行との契約なので、単に名義だけを変えるだけでは借金が消えるわけではありません。
借り換えや新規借入(借り換え審査)が必要になります。
✅ 話し合い(合意)を文書に残すこと
離婚協議書や清算条項を弁護士に作成してもらい、誰がどの期間までいくら負担するか、残債がある場合の負担ルールを明確にしておくことが非常に大切です。

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口約束で済ませてしまうと、後でトラブルになることがあります。
妻が持ち家の売却前にやるべきチェックリスト
✅ ローン残高証明書を金融機関で取得する。
✅ 不動産登記簿謄本(登記事項証明書)で名義・抵当権の状況を確認する。
✅ 複数業者に査定を依頼してアンダー/オーバーを把握する。
✅ 連帯保証人/連帯債務の有無を契約書で確認する。
✅ 任意売却の必要性があるなら、任意売却に強い不動産会社と弁護士に相談する。
✅ 売却後に残債が発生する可能性がある場合、その負担(誰が払うか)を離婚協議書で明確にする。
離婚後名義人でない人が住む場合はどうなる?
離婚後、妻が名義人ではない住宅に住み続けたいと考えるケースもあります。
名義人が夫の場合、妻が住み続けるには夫の同意や名義変更が必要です。
金融機関は、名義人の変更を簡単には認めません。
妻が住宅ローンを引き継ぐ場合には、妻自身の収入や返済能力を審査されることになります。
専業主婦など収入が少ない場合、借り換えや一括返済の選択肢が現実的でないこともあります。
持ち家の財産分与での扱いはどうなる?
離婚に際して、持ち家は財産分与の対象となります。
ただし、ローンが残っている場合は取り扱いが複雑になります。
■ 名義人が夫の場合
持ち家の評価額から住宅ローンの残高を差し引いた額がプラスであれば、財産として分割対象になります。
マイナス(オーバーローン)の場合は、財産分与の対象にならないのが一般的です。
■ ペアローンの場合
夫婦が共同で債務を負っているため、双方に支払い義務が残ります。
財産分与を行う場合でも、残債がある限り、単純に家を分け合うことはできません。
離婚時の住宅ローンについて弁護士に相談するメリット

住宅ローンは金融機関との契約、不動産の評価、夫婦間の合意など、複数の要素が絡み合うため、自力で最適な解決策を見つけるのは難しい場合があります。
弁護士に相談することで、リスクを最小限に抑え、離婚後の生活を安心して送るための手助けとなります。
✅ 住宅ローンの支払い義務を正確に把握できる
名義人、連帯保証人、ペアローンなど、複雑な契約内容を整理してもらえます。
離婚後に妻が支払義務を負う可能性やリスクを明確に把握できて安心です。
誤解による将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
✅ 財産分与や慰謝料とのバランスを考えた解決が可能
持ち家の評価額とローン残高の関係を踏まえて、最適な財産分与の方法をアドバイスをもらえます。
住宅ローンの支払い義務を誰が負うかによって、慰謝料や財産分与の金額調整が必要な場合もありますが、弁護士のサポートにより、離婚後の経済的負担を公平に整理できます。
✅売却・任意売却・借り換えなど複数の選択肢を検討できる
オーバーローンやアンダーローンなど、ケースに応じた最適な売却方法を提案します。
借り換えや名義変更の可否、手続きの流れも整理してもらえます。
金融機関との交渉や契約書作成を弁護士に依頼することで、安全かつスムーズに進められ、安心です。
離婚時の住宅ローンについてよくある質問
Q1. 離婚後も住宅ローンの連帯保証人から外れられる?
→ 原則として金融機関の承諾が必要です。代わりの保証人を立てられない場合には、難しいかもしれません。
Q2. 妻が住宅ローンを一括返済することは可能ですか?
→ 収入や資産が十分にあれば可能ですが、現実的には難しい場合が多いです。退職金や親からの援助による返済もまれに見られます。
Q3. 借り換えで解決できる?
→ 妻の収入が安定していれば借り換えによって名義変更することも可能です。ただし銀行の審査基準は厳しく、専業主婦では難しいケースがほとんどです。
Q4. 家を売却せず夫が住み続ける場合、妻に支払い義務は?
→ 名義人が夫であれば妻には直接の義務はありません。ただし連帯保証人の場合はリスクが残ります。
まとめ
✅離婚時の住宅ローンは名義人・契約形態で支払い義務が変わる
✅妻が連帯保証人やペアローンの場合は返済義務を負う可能性がある
✅家を売却する場合はオーバーローンかアンダーローンかで取り扱いが異なる
✅名義変更や借り換えには銀行の審査が必要
✅複雑なケースでは弁護士相談が最も安全な対処法です
離婚と住宅ローンの問題は、手続きが難しく、トラブルになりやすい分野です。後悔のない選択をするために、早めに専門家に相談して対応策を検討していきましょう。
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千葉県船橋市の離婚弁護士 西船橋ゴール法律事務所はこれまで100件を超える多くの夫婦問題・離婚問題を解決に導いて参りました。
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