財産分与の対象にならないものとは?|損しないためのチェックポイント

財産分与 財産分与の対象にならないものとは?|損しないためのチェックポイント

離婚の際に行われる財産分与では、夫婦が結婚期間中に築いた財産を公平に分けることが原則です。

ですが、すべての財産が分与の対象になるわけではありません。 


川口晴久
弁護士

たとえば、結婚前から持っていた預貯金や、親から相続・贈与された財産などは「財産分与の対象にならないもの」として扱われます。 

つまり、財産分与で損をしないためには、まず「どの財産が対象になり、どの財産が対象にならないのか」を正しく区別することが重要です。 
ここを間違えると、本来分けるべきでない財産まで分けなければならなくなる可能性もあります。 

この記事では、 

✅財産分与の基本的な仕組み 

✅財産分与の対象にならないものの具体例 

✅特有財産を正しく主張するためのポイント 

✅相手が勝手にお金を使いこんだ場合の対応方法 

✅財産分与で損をしないための実践的チェックポイント 

を、弁護士の視点でわかりやすく解説します。 
離婚後のお金の不安を減らし、自分の正当な取り分を守るために、ぜひ最後までご覧ください。 

財産分与とは何か? 

財産分与の基本的な仕組み 

財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に築いた財産を離婚の際に清算・分配することをいいます。 
民法768条に定められた法的制度であり、原則として夫婦が協力して形成した共有財産を公平な割合で分けるのが目的です。 

財産分与の対象となる財産には、たとえば以下のようなものがあります。 

  1. 預貯金・現金・株式・投資信託などの金融資産 
  1. 自宅や土地などの不動産 
  1. 自動車や有価証券、貴金属など価値のある資産 
  1. 退職金(将来支給見込みを含む) 
  1. 生命保険の解約返戻金 

離婚時点の名義がどちらであるかは基本的に関係なく、「結婚期間中に形成されたかどうか」が判断の基準になります。 

財産分与における3つの要素清算・扶養・慰謝料

財産分与には大きく3つの側面があります。 

財産分与の三要素

①清算的財産分与

②扶養的財産分与 

③慰謝料的財産分与

  1. 清算的財産分与 
     → 婚姻期間中に築いた財産を公平に清算するもの 
  1. 扶養的財産分与 
     → 経済的に弱い配偶者を離婚後も一定期間支えるもの 
  1. 慰謝料的財産分与 
     → 不貞やDVなどによる精神的苦痛を補う要素を含むもの 
弁護士
川口晴久

ただし、一般的なケースでは「清算的財産分与」が中心となります。 

財産分与の対象とならないものって何? 

財産分与で誤解されやすいのが、「結婚してからの財産はすべて半分にしなければならない」という考え方です。 
しかし、実際には財産分与の対象にならないものも多数あります。 

財産分与の対象にならないもの(特有財産) 

以下のような財産は、原則として財産分与の対象外です。 

  1. 結婚前から持っていた預貯金・不動産・株式など 
  1. 親からの贈与や相続で得た財産(遺産・贈与財産) 
  1. 個人的な慰謝料・損害賠償金・学資保険など特定目的のもの 
  1. 婚姻中でも、夫婦の協力によらず個人で取得した財産(例:独身時代の貯金を運用した収益) 

これらは「夫婦の共有財産」ではなく「特有財産」とされ、清算の対象にはなりません。 

判断基準は「婚姻期間中に夫婦の協力で形成されたか」 

たとえば、結婚後に夫名義で購入した自宅であっても、妻が専業主婦として家事・育児を担っていた場合には、妻の経済的貢献が認められ、共有財産となるケースが一般的です。 
逆に、親から相続した土地を売却して得た現金などは、夫婦の協力によるものではないため、財産分与の対象にならないと判断されます。 

特有財産について 

特有財産とは何か? 

特有財産とは、夫婦の一方が単独で所有している個人的な財産を指します。 
民法上も、特有財産は財産分与の対象外と明記されています。 


代表的なものは以下の通りです。 

1.結婚前の貯金・不動産 

2.親からの相続財産や贈与財産 

3.個人の慰謝料や損害賠償金 

4.名義・取得時点が明確に個人に帰属する資産 

ここに注意!

結婚後に共有資金を使って増築したり、維持費を負担した場合は「共有財産の一部」として扱われる可能性もあります。 

特有財産を主張するポイント 

特有財産を主張するには、「その財産が個人のものであることを証明する資料」が必要です。 


たとえば以下のような書類が有効です。 

  1. 取得時期を示す契約書・登記簿・通帳 
  1. 贈与契約書や遺産分割協議書 
  1. 親族からの贈与を証明する振込明細や領収書 
  1. 相続関係説明図・遺言書など 

これらをもとに、「この資産は結婚前から保有していた」「婚姻中に相続で取得した」と主張できます。 


証明資料が不十分な場合は、共有財産とみなされて分与対象になるリスクがあるため注意が必要です。 

相手がお金を勝手に使いこんだ場合はどうなる? 

使い込みが発覚したときの対応 

「相手が通帳からお金を引き出していた」「投資口座の資産が減っている」など、財産の使い込みが疑われるケースも少なくありません。 
こうした場合、家庭裁判所での財産分与手続きの中で問題を指摘し、調査・照会を求めることができます。 

金融機関への照会、残高証明、取引履歴の提出を求めることで、婚姻期間中の資産形成・減少の経緯を明らかにします。 

勝手に財産を処分された場合 

離婚前に相手が勝手に不動産を売却したり、株式を現金化した場合でも、「財産分与の対象となるはずだった資産を故意に処分した」と判断されると、 
裁判所はその分を考慮して、残された財産から「本来の共有分」を補う形で調整を行うことがあります。 

弁護士
川口晴久

どちらにしても、早めに弁護士に相談し、財産の所在を把握・証明することが大切です。 

財産分与での取り分を少しでも増やすためにやること 

チェックしてほしいポイント

財産分与で損をしないためのポイント 

  1. 1.財産の全体像を把握すること 
     → 預貯金、株式、生命保険、不動産、退職金など、すべての資産の一覧を作成し、把握しておくことが必要です。 
  1. 2.資料・通帳・契約書を確保しておくこと 
     → 名義変更や解約前に写しを保存しておきましょう。 
  1. 3.特有財産の証拠を残しておくこと 
     → 結婚前の通帳や贈与証明などが証拠となる場合があります。 
  1. 4.相手の使い込みを疑う場合は早期に動くこと 
     → 家庭裁判所への照会や調査嘱託を申立てられます。 
  1. 5.調停や交渉では弁護士のサポートを受けること 
     → 弁護士が証拠収集や公平な計算、交渉を代行します。 

財産分与での注意点 

  • 1.共有財産と特有財産を混同しないこと 
     → 特有財産を主張できなければ、相手に一部渡す結果になってしまうこともあります。 
  • 2.離婚成立後は2年以内に請求を行う必要がある(民法768条) 
     → 期限を過ぎると財産分与請求権が消滅します。 
  • 3.感情的な交渉を避けること 
     → 公平な分与を実現するためには、資料で裏付けた上で落ち着いて交渉を進めていくことが大切です。 

財産分与の手続きを弁護士に依頼するメリット 

離婚問題に悩んだら西船橋ゴール法律事務所の離婚弁護士にご相談を

財産分与は、「どこまでが共有財産か」「どの資料で証明するか」など、専門的な判断を伴う複雑な手続きです。 
弁護士に依頼することで、見落としを防ぎ、自分の正当な取り分を守れる可能性が上がる場合があります。 

1. 財産の全体像を正確に把握できる 

弁護士は、相手名義の口座や保険、不動産なども含めて、家庭裁判所を通じた照会や調査嘱託を行うことができます。 
そのため、自分では確認できない隠れた財産や退職金の情報も明らかにできる場合があり、分与対象の全体像を正確に把握する助けになります。 
また、資料の取り寄せや整理もサポートしてもらえるため、証拠不足による不利な扱いを避けられます。 

2. 「特有財産」の主張を法的に裏付けられる 

特有財産を守るためには、「婚姻前に取得した」「相続で得た」などの証明が不可欠です。 
弁護士は通帳履歴・登記簿・遺産分割協議書などの証拠を整理し、法的根拠に基づいて主張を組み立ててくれます。 
その結果、本来は共有財産ではないものまで分けるような不当な分配を防ぐことができます。 

3. 調停・審判での交渉を有利に進められる 

財産分与は、話し合いで合意できない場合に家庭裁判所での「調停」や「審判」に進むことがあります。 
弁護士が代理人として手続に関与することで、法的な観点から主張を整理し、客観的な資料に基づいて交渉を有利に進めることが可能です。 
また、相手側との感情的な衝突を避け、公平な結果を得やすくなります。 

よくある質問(FAQ) 

Q1. 退職金は財産分与の対象になりますか? 

退職金は婚姻期間中に形成された部分のみ対象です。 
退職済みで支給済みの場合は金額が明確ですが、在職中の場合は「将来受け取る見込み額」のうち婚姻期間に対応する割合を按分します。 

Q2. 保険金や学資保険はどう扱われますか? 

生命保険や学資保険の解約返戻金は財産分与の対象になります。 

Q3. 相続で得た不動産や現金は? 

相続によって取得した財産は、原則として特有財産であり、財産分与の対象になりません。 
 

Q4. 住宅ローンが残っている場合は? 

住宅ローン付きの不動産は、資産価値と負債額の差額(純資産)をもとに清算します。 
ローン残高が資産価値を上回る場合は、マイナス財産として取り扱われます。 

Q5. 弁護士に依頼するメリットは? 

弁護士に依頼すれば、財産の調査・照会・証拠収集を法的に行えます。 
また、調停や審判の場で有利に交渉できるため、「財産分与の対象にならないもの」を正しく主張し、自分の取り分を守ることが可能です。 

まとめ|財産分与の対象にならないものを理解し、損を防ぐために 

離婚時の財産分与は、単なる「お金の分け方」ではなく、夫婦の生活の清算という意味を持ちます。 
ただし、何でも半分にするわけではなく、「財産分与の対象にならないもの」を正しく把握しておくことが、損を防ぐ第一歩です。 

特有財産の主張、相手の使い込みの有無、資料の保全など、実際の手続きには専門的な判断が求められます。 
不安がある場合は、離婚・財産分与に詳しい西船橋ゴール法律事務所へご相談ください。正しい知識と準備で、納得のいく解決を目指しましょう。 

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千葉県船橋市の離婚弁護士 西船橋ゴール法律事務所はこれまで100件を超える多くの夫婦問題・離婚問題を解決に導いて参りました。
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ぜひお気軽にご相談ください。

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