家族が逮捕されてしまった・釈放してほしい
家族が警察に逮捕されると、誰しも慌ててしまうもので、家族は無実だから釈放してほしいと願うのは当然です。
ただ、警察署に駆けつけて、警察官を相手にそのような話をしても取り合ってもらえません。
残された家族がやるべきことは、逮捕直後に可及的速やかに刑事弁護専門の弁護士に依頼し、勾留回避に向けた弁護活動を行ってもらうことです。
タイムリミットは72時間しかありません。
家族の逮捕は前触れなく起こることがほとんど
普通に生活している方であれば、家族が逮捕されることを想定している方は少ないと思います。
家族の帰りが遅くて心配していると、突然、警察から連絡が来て、家族が逮捕されたと言われる。
ある日の早朝、いきなり、警察を名乗る刑事が家に押しかけてきて、家族を逮捕していった。
そのような感じで、家族の逮捕は前触れもなく、いきなり起きるのがほとんどです。
このような場合、残された家族としては、パニックになったり、慌てるのが当然です。
警察に問い合わせても、詳しいことは知らせてもらえないことがほとんどです。
もちろん、家族が慌てて、警察署に駆けつけても、釈放してくれるわけではなく、面会させてもらえるわけでもありません。
家族が警察に逮捕された直後は、残された家族ができることは、ほとんどないのが実情です。
このような場合、家族としてはどうしたらよいのでしょうか。
逮捕された人と制限なく面会できるのは弁護士だけ
逮捕直後の72時間は、逮捕された人の家族が警察署に赴いても面会することはできません。
逮捕直後の72時間の間に、警察では取り調べを行い、事件を送検したうえで、検察が勾留請求を行います。
勾留請求が認められてしまうと、最長で20日間、身体拘束を受けることになります。
勾留後は、家族も面会できますが、面会時間や回数に制限があるうえ、面会中は警察官による立会があり、とても落ち着いて話ができる状況ではありません。
一方、弁護士ならば、逮捕直後から、面会できますし、面会時間、回数も制限されませんし、警察官の立ち合いも必要ありません。
そのため、残された家族としては、弁護士を介して、伝えるべきことを伝える。
あるいは弁護士に手紙を託して渡してもらう形が、逮捕された家族との最も確実な意思疎通方法になります。
逮捕された家族を早期に釈放してもらうには?
残された家族としては、逮捕された家族を早期に釈放してもらいたいというのが本音でしょう。
「冤罪だ」
「そんなことするはずがない」
警察署に押しかけて、警察官にそのような話をしても、取り合ってもらえません。
逮捕された家族が無実だと信じるのであれば、警察署に駆けつけて直談判を試みるのではなく、弁護士に依頼することが大切です。
逮捕された人のことを被疑者と言いますが、被疑者の逮捕直後、弁護士が被疑者や家族から刑事弁護を依頼された場合は、まず、早期釈放のための弁護活動を行います。
具体的には、被疑者本人に面会したうえで、逮捕に至った事情を確認し、警察の取り調べで話してよいことと、黙秘すべきことなどのアドバイスを行います。
面会時には、逮捕された事案についての話をするだけではありません。
この時、家族から依頼されていれば、家族からのメッセージや手紙を渡したりして、被疑者を落ち着かせることも重要な仕事になります。
家族と連絡が取れていることや家族も無実を信じていることを知ることで、被疑者も落ち着いて、警察の取り調べに応じられるためです。
家族と連絡が取れていなかったり、どう思っているのか分からない状況では、落ち着いて取り調べに応じられませんし、逮捕された状況から早く逃れたいと考えて、取調官の言いなりに供述してしまうこともあります。
逮捕直後の72時間で弁護士が早期釈放のためにやることは?
被疑者の早期釈放を目指すならば、逮捕直後の72時間の弁護活動が重要になります。
72時間を過ぎてしまうと、勾留請求が認められてしまい、被疑者が最長で20日間、身体拘束を受ける恐れがあるためです。
勾留請求が認められるのは、次のような要件を満たす場合とされています。
- 1.被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること。
- 2.以下の事由に該当するため勾留の必要性があること。
- ・被疑者が定まった住所を有していない。
- ・被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある。
- ・被疑者が逃亡し、または逃亡するに足りる相当な理由がある。
逮捕された被疑者は、明確に冤罪である場合を除き、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があることがほとんどなので、この点について争うことは難しいです。
一方、勾留の必要性については、家族がいる場合は、必要性がないと主張することが可能です。
家族と一緒に暮らしているため、定まった住所があり、逃亡の恐れはなく、釈放後は家族、とりわけ、配偶者による監督を期待できる。
といった形で、勾留の必要性を否定することができます。
さらに、被疑者に罪証を隠滅する意図はなく、そもそも、罪証を隠滅する余地がないこと。
また、被害者と示談交渉を行ったうえで、示談成立が見込まれることなども併せて主張することで、勾留の必要性がないことを補強します。
弁護士が勾留回避のために具体的にやることは?
刑事弁護を依頼された弁護士は、逮捕後の72時間で勾留回避のために目まぐるしく動きます。
まず、被疑者本人と接見したうえで、状況を把握し、逃亡や罪証隠滅を図る意図はないという趣旨の被疑者の供述録取書を作成します。
また、家族と面会したうえで、定まった住所があることや釈放後に逃亡しないように監督する旨の家族、とりわけ、配偶者の供述録取書を作成します。
さらに、被害者の方と面会したうえで、被疑者が反省していることを伝え、示談に向けた話し合いを行います。
示談成立が見込まれる場合は、弁護士がその旨の報告書を作成します。
こうして作成した書類をまとめたうえで、弁護士は、担当の検察官に面会したうえで、勾留請求をしないことを求める意見書を提出します。
すでに、検察官が裁判所に勾留請求を行っていた場合は、裁判所に赴いて、裁判官に対して勾留請求の却下を求める意見書を提出します。
ここまでやれば、後は、検察官が勾留請求をしないことや勾留請求をしても裁判所が却下するのを待つだけです。
これだけのことを72時間以内に行うためには、家族が逮捕された後で、残された家族の方が如何に早く刑事弁護専門の弁護士に依頼できるかがカギになるわけです。
まとめ
家族が逮捕されてしまった。
早く釈放してほしい場合に、残された家族がするべきことは、速やかに刑事弁護専門の弁護士を探して、勾留回避のための弁護活動に取り掛かってもらうことです。
タイムリミットは、逮捕後の72時間、つまり、3日間しかありません。
1日でもロスしてしまうとそれだけ、早期釈放が遠のいてしまう可能性があります。
また、3日間の間、家族と連絡を取れない状態に置かれる被疑者の精神状態も懸念されます。
落ち着かない状況では、取調官に迎合して、ありもしない自白をしてしまい、冤罪で服役することになりかねません。
家族の無実を信じているなら、今すぐに刑事弁護専門の弁護士に相談することが大切です。