示談金の決め方|相場や示談の必要性について弁護士が解説


平成17年3月 東京都立上野高等学校卒業 平成23年3月 日本大学法学部法律学科卒業 平成26年3月 学習院大学法科大学院修了 平成27年9月 司法試験合格 アトム市川船橋法律事務所 令和5年1月 西船橋ゴール法律事務所開業 所属:千葉県弁護士会
刑事事件の加害者となってしまった際、気になるのが「示談金の決め方」です。
「刑事事件を起こしてしまった」「会社や学校に知られずに解決したい」……。
そんな切実な思いで、この記事に辿り着いたのではないでしょうか。
刑事事件における示談は、事件の早期解決や起訴回避、さらには将来を守るための極めて重要な手続きです。
しかし、一般の方にとって、示談金の計算方法や適切な金額の判断は非常に難しいものです。

弁護士
本記事では、経験豊富な弁護士の視点から、実例を交えて以下について解説します。
この記事でわかること
✅ 刑事事件における示談金の決め方の基準や相場
✅ 円滑な交渉の進め方
目次
刑事事件における示談金・決め方の基本原則
刑事事件の加害者となった場合、まずは「示談金の決め方」の基本を理解する必要があります。
交通事故の自賠責保険のような明確な算定基準が存在しない刑事事件では、示談金の決め方は当事者間の合意がすべてとなります。
示談金とは何か?
示談金とは、被害者が受けた精神的苦痛(慰謝料)や財産的損害を填補するために、加害者が支払う金銭のことです。

弁護士
示談金を支払うことで、被害者から「許し(宥恕)」を得て、刑事処分を軽くしてもらうことを目指します。
示談金の決め方を左右する要素
実務上、示談金の決め方には以下の要素が強く影響します。
被害の種類と程度
怪我の有無、盗った金額、精神的苦痛の度合い。
事件の態様
計画的か突発的か、悪質性の有無。
加害者の反省の程度
謝罪の有無や真摯な態度。
被害者の感情:処罰感情が強いほど、解決には高額な提示が必要になる傾向があります。
私の経験上、多くのご家族が「お金さえ払えば解決する」と誤解されていますが、示談金の決め方において最も大切なのは、被害者への誠実な謝罪と、相手が納得できる条件の提示です。
【事件別】示談金の相場と具体的な目安
示談金の決め方を検討する際、最も気になるのが「相場」です。
刑事事件には一律の価格表はありませんが、過去の判決や実務上の傾向から一定の目安が存在します。
痴漢・盗撮などの性犯罪
性犯罪は被害者の精神的苦痛が非常に大きく、示談金の決め方にも慎重さが求められます。
- 相場:30万円~100万円程度
- 考慮要素:執拗さ、撮影内容の悪質性、被害者の年齢など。
暴行・傷害事件
怪我の程度(全治期間)が示談金の決め方の大きな基準となります。
- 相場(暴行):10万円~30万円
- 相場(傷害):30万円~100万円以上(治療費・休業損害を含む)
- 考慮要素:治療期間、後遺障害の有無、仕事への影響。
窃盗・万引き・横領
財産犯の場合、被害額(損害額)の弁済が示談金の決め方の最低ラインとなります。
- 相場:被害額 + 10万円~30万円(迷惑料として)
- 考慮要素:被害品の還付状況、計画性。
詐欺事件
- 相場:被害額全額 + アルファ
- 注意点:組織的な事案では、全額返金しても示談が成立しないケースもあります。
なぜ示談が必要なのか?示談をする5つのメリット
「高いお金を払ってまで、なぜ示談をしなければならないのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、刑事事件において示談金の決め方を正しく理解し、合意を取り付けることには、今後の人生を左右するほどのメリットがあります。
不起訴処分を獲得できる可能性が高まる
不起訴処分となれば、前科がつきません。
示談が成立していると、検察官が「起訴猶予(不起訴)」と判断する可能性が高まる場合があります。
早期釈放・身柄拘束の回避できる場合がある
逮捕・勾留されている場合、示談の成立は証拠隠滅の恐れがないと判断される材料になり、早期の釈放に繋がる場合があります。
執行猶予がつく可能性が上がる
起訴された場合でも、示談が成立していれば裁判所による量刑判断で有利に働き、実刑を回避して執行猶予がつく確率が高まります。
民事上の損害賠償問題を同時解決する
示談書に「清算条項」を入れることで、後から、損害賠償請求(民事訴訟)をされるリスクをなくすことができます。
(「精算条項(せいさんじょうこう)」とは、当事者間に示談書で定めた内容以外の債権債務がないことを確認し、将来的に追加の慰謝料請求や損害賠償請求を一切行わないことを法的に約束するものです。)
会社や学校への影響を減らせる
事件が早期に解決すれば、欠勤期間を短縮でき、仕事や学校を辞めずに済む可能性が高まります。
示談金の決め方
実損害の算出(財産的損害)
まず、目に見える損害を計算します。
✅ 治療費・通院費:領収書に基づく実費。
✅ 修理費:物の損壊がある場合。
✅ 休業損害:被害者が仕事を休んだ場合の給与相当額。
慰謝料の算定(精神的損害)

弁護士
示談金の決め方で最も揉めるのがこの部分です。
慰謝料の算定においては、精神的苦痛を金銭に換算します。
過去の裁判例や、弁護士会が発行する基準(赤い本など)を参考にしますが、刑事事件では被害者の感情を汲み取って「上乗せ」することもしばしばあります。
加害者の資力と誠意のバランス
法律上の支払い義務とは別に、示談金の決め方には「加害者が今出せる精一杯の金額」という現実的な側面も含まれます。
無理な金額を提示して支払いが滞るよりは、確実に支払える範囲で誠意を見せることが、最終的な解決に繋がります。
私の経験では、民亊裁判で賠償金として認定される金額を元に、依頼者の方の資力をふまえながら決めます。

弁護士
過去には、民亊賠償金と比べて低い金額であったものの示談が成功したケースもありました。
示談交渉の流れとタイミング
示談金の決め方が決まっても、進め方を間違えるとトラブルに繋がる場合があるため、慎重に進めていく必要があります。
事件発生直後:謝罪の意思表示
まずは弁護士を通じて、謝罪のメッセージを伝えます。
刑事事件の被害者の中には、「加害者とはもう関わりたくない」「直接連絡を取りたくない」と感じる方も少なくありません。
特に、暴行・傷害事件、性犯罪、ストーカー、DV、詐欺などの事件では、加害者との接触そのものに強い恐怖や精神的負担を感じるケースがあります。
また、「謝罪を受けても素直に受け止められない」「逆に思い出してつらくなる」と感じる方もいるため、弁護士を通して連絡をとるのが安全です。
弁護士による交渉開始
弁護士が被害者(またはその弁護士)と接触し、被害感情を確認しながら、少しずつ示談金の決め方について話し合いを始めます。
示談条件の提示
金額、支払方法(一括・分割)、謝罪文の提出、接触禁止条項などを盛り込んだ具体的な条件を提示します。
示談書の作成と締結
双方が合意したら、示談書を作成します。ここで重要なのは「宥恕文言(刑事処罰を望まない旨)」を含めることです。
示談金の支払い
合意に基づき速やかにお金を振り込みます。
また、作成した示談書は、必要に応じて検察官や裁判所へ提出されることがあります。
示談が成立していることは、処分判断の際に考慮される事情の一つとなります。
あわせて読みたい
示談は弁護士に依頼すべき?
「自分で謝罪して解決したい」と考える方もいるかもしれません。
しかし、刑事事件の示談は感情的な対立も大きく、当事者同士で進めるのが難しいケースが多いです。
被害者と連絡が取れないことが多い
警察が加害者本人に被害者の連絡先を伝えることは通常ありません。
弁護士を通じて、示談の意思を伝える形になることが一般的です。
直接交渉でトラブルになる可能性がある
被害者側が強い不安や怒りを抱えている場合、直接の連絡によって関係が悪化してしまうことがあります。
状況によっては、新たなトラブルにつながるおそれもあります。
示談書の内容が不十分になることがある
示談が成立しても、内容や文言が適切でなければ、後々トラブルになる可能性があります。
刑事処分への反映という点でも、適切な形でまとめることが重要です。
示談金額の調整が難しい場合がある
示談金には一定の相場がありますが、当事者だけでは冷静な話し合いが難しくなることもあります。
弁護士が間に入ることで、法的な観点から整理しながら交渉を進めやすくなります。
示談金の支払いが難しい場合の対処法
「示談が必要なのはわかったが、手元にお金がない」、「被害者の方が示談金を受け取らない」という状況も珍しくありません。

弁護士
その場合の示談金の決め方と対応策を考えます。
✅ 親族からの借入:最も一般的な方法です。
✅分割払いの交渉:弁護士が間に入り、公正証書を作成することなどを条件に、分割での支払いに合意してもらうケースもあります。
✅一部弁済と反省文:全額は無理でも、今できる最大限の金額を支払い、残りは真摯な謝罪で補う交渉を行います。
✅供託(きょうたく):被害者が受け取りを拒否しているが、加害者に賠償の意思がある場合、裁判所の供託所に金銭を預ける手続きです。
よくある質問(FAQ)|示談金と決め方について
Q. 示談金に領収書は必要ですか?
A. 銀行振込の記録が領収書の代わりになりますが、併せて示談書の中に「本日、金〇〇円を受領した」という文言を入れるのが一般的です。
Q. 示談を拒否されたらどうなりますか?
A. 無理強いはできません。その場合は、弁済供託や贖罪寄付(慈善団体への寄付)を行うなどして、反省の態度を客観的に示す別の方法を検討します。
まとめ|早期の相談が「人生の守り方」を決めます

弁護士
刑事事件は時間が勝負です。
起訴が決まってからでは、できることが限られてしまいます。
示談金の決め方に悩み、立ち止まっている間に、捜査はどんどん進んでしまいます。
私のこれまでの経験では、適切なタイミングで適切な金額を提示できたケースほど、被害者の心も救われ、加害者の社会復帰もスムーズに進んでいます。
ご家族やご自身が犯してしまった過ちは消せませんが、その後の対応次第で、未来の形を変えることは可能です。
「会社に知られたくない」「前科をつけたくない」という切実な願いがあるなら、まずは一刻も早く、刑事事件の経験豊富な西船橋ゴール法律事務所にご相談ください。
事案に即した最適な示談金の決め方をアドバイスし、あなたの生活を守るためのサポートをいたします。
ポイント
✅ 示談金の決め方には相場のようなものがあるが、最終的には当事者の合意で決まる
✅ 示談の成立は「不起訴処分」や「執行猶予」を獲得するために重要
✅ 被害者感情に配慮し、弁護士を介して交渉を進めることが必要
✅ 金額の妥当性や手続きの適正さを確保するため、弁護士に相談しましょう

弁護士
この記事が、不安な夜を過ごされている皆様の助けになれば幸いです。
対応地域のご案内
主な対応地域:東京都江戸川区、千葉県千葉市・船橋市・市川市・その他千葉県全域
