盗撮未遂の示談金はどのくらい?交渉や示談のタイミングは?
駅やエスカレーターなどで盗撮や盗撮未遂をされたというニュースを耳にしたことがあるという方は多いでしょう。
盗撮や盗撮未遂の事件では、多くの場合で被害者との間で示談が行われます。ではもし、盗撮が未遂だった場合は、未遂であることを理由に「示談金はそれほど高くならないのではないか」「未遂なら刑事処分も軽いのではないか」ということになるのでしょうか。
しかし、盗撮未遂であっても、被害者が強い不快感や恐怖を抱けば、事案の内容によっては逮捕されて刑事事件化する可能性もあります。だからこそ示談交渉が重要になるのです。
盗撮未遂の示談金の確定や支払いについては、理解しておくべきポイントが多くあります。さらに、示談の進め方によっては、不起訴になる可能性や民事上の損害賠償請求への影響も変わってきます。この記事では、盗撮未遂の示談金の相場を中心に、示談交渉の流れや弁護士に依頼するメリットについてわかりやすく解説します。
目次
盗撮未遂での示談は重要
盗撮未遂の事件では、示談ができるかどうかが、その後の対応を大きく左右します。
被害者との間で示談が成立すれば、刑事事件としての処分に影響する可能性があるだけでなく、民事上の損害賠償請求やトラブルの拡大を防げる場合もあります。特に、被害者が強い被害感情を持っているケースにおいては、早期に適切な示談交渉を行うことが重要です。
刑事事件の可能性
盗撮未遂は、単なるマナー違反や迷惑行為ではなく、刑事事件として扱われる可能性があります。
2023年7月に施行された性的姿態等撮影罪では、正当な理由なく、ひそかに性的な部位や下着部分などを撮影する行為が処罰対象とされています。
他にも迷惑防止条例違反に該当する可能性もあります。そのため、盗撮は未遂であっても、警察の捜査を受け、場合によっては逮捕や勾留の可能性があります。
さらに、起訴されれば刑事裁判になり、罰金刑だけでなく、事案によっては拘禁刑や執行猶予付き判決が下されて刑罰を受ける可能性もあります。
損害賠償請求の訴訟を回避する
盗撮未遂において、示談が重要なのは、刑事事件の処分に影響するからというだけではありません。
盗撮や盗撮未遂では、被害者が精神的苦痛を受けたとして、慰謝料や損害賠償を請求する可能性があります。ですが、先に示談が成立していれば、慰謝料、謝罪、今後の接触禁止、被害届や告訴への対応などを一括で整理して民事訴訟を回避しやすくなります。
被害者との間で示談が成立すれば、通常は示談金や慰謝料の支払いと引き換えに、被害者側が一定の解決に応じるということになります。もちろん、すべてのケースで訴訟を完全に回避できるわけではありませんし、お金ですべてが解決できるということではありませんが、示談を行うことで紛争が大きくなるリスクを下げることができます。
この場合、後から別の請求やトラブルが生じないよう、示談書の内容に精算条項などを入れることがポイントとなります。
盗撮未遂の示談金の相場
盗撮未遂の示談金には、法律で定められた一律の基準があるわけではありません。ですが、ある程度の相場はあります。実際に支払われる金額は、被害者の感情、行為の内容、場所、悪質性、証拠の有無、未成年かどうかなど、さまざまな事情によって変わります。そのため、相場を意識しつつ、個別の事情に応じた判断が必要です。
盗撮の場合は50万円程度
盗撮事件の示談金相場としては、30万円から50万円程度が一つの目安とされることが多いとされています。ただし、これはあくまで一般的な相場であり、すべての事件でこの金額になるわけではありません。
盗撮未遂の場合は10万円から30万円程度
盗撮未遂の場合は、実際に撮影が成功していない点が考慮され、既遂よりも低めの金額になる傾向があります。もっとも、未遂であっても被害者の精神的苦痛が大きいケースや、場所や方法が悪質なケースでは、50万円程度あるいはそれ以上の示談金が問題になることもあります。
金額は合意があればよい
示談金は、裁判所や法律で決められているものではなく、当事者双方の合意によって決まるものです。そのため、相場は参考になりますが、最終的には被害者側と加害者側が納得できるかどうかが重要です。10万円台で成立するケースもあれば、100万円近い金額が提示されるケースもあります。
また、被害者側の感情が強いと、高額な示談金を提示しても解決できないことがあります。そもそも、行為を認めているのか、そして、反省や謝罪の内容、示談のタイミング、今後の接触防止、支払い方法なども交渉材料になります。示談金の金額だけでなく、示談全体の内容として何をどう交渉して双方が納得するかがポイントです。
慰謝料と示談金の違い
慰謝料と示談金は、よく似ているようにも思えますが実は意味が異なります。
慰謝料は、被害者が受けた精神的苦痛に対して支払う金銭です。そして、示談金は、慰謝料に加えて、謝罪の趣旨、物的損害、弁償、今後の清算まで含めて、事件全体を解決するために支払う金銭を指しています。
もちろん、両者を同じ意味で使うこともありますが、ここでは慰謝料と示談金と区別して理解しておくほうがいいでしょう。
慰謝料や示談金が高くなるケース
盗撮未遂であっても、すべてのケースで必ず示談金が低くなるとは限りません。事案の内容や被害者の受けた精神的苦痛が大きい場合には、慰謝料や示談金が高額になることもあります。
示談金については、単に未遂か既遂かだけでなく、どのような場所でどのような方法で、どの程度悪質な行為だったのかなどがポイントになります。
盗撮の程度や内容が悪質な場合
示談金が高くなりやすいケースは、盗撮の程度や内容が悪質な場合です。たとえば、トイレや更衣室といった場所、スカートの中や下着を狙った撮影、カメラの設置、繰り返し行われたという場合や、ストーカー行為がある場合などは、被害者の精神的苦痛が大きいと評価されやすくなります。
盗撮未遂や盗撮は、交通事故のような偶発的なものではなく、また性犯罪に近い態様であるため被害者側が強い怒りや不安を持ちやすく、示談金の金額も高くなりやすい傾向があります。
また、被害者が複数いる場合や、学校や会社など生活への影響が大きい場所での事件では、悪質性がさらに高く評価されることがあります。このようなケースでは、50万円を超える示談金が提示されることもあります。
未遂の場合は低くなる傾向
盗撮未遂は、既遂に比べると、一般的には示談金が低くなる傾向があります。実際に画像や映像が撮影されていない、保存されていない、拡散の危険が具体化していないからです。そのため、盗撮をしてしまったという既遂に比べると、被害の程度は相対的に軽く評価されやすいです。
ただし、未遂だから必ず低額で済むというわけではありません。被害者が強い恐怖や不快感を覚えた場合や、未遂であっても計画的な行為であった場合、過去にも同様の問題を起こしていた場合には、示談金が高くなることがあります。
示談金が払えない場合
被害者との示談交渉で示談金を提示されても、すぐにその金額を支払えないというケースは少なくありません。しかし、支払いが難しいからといって、何もせず放置してよいわけではありません。金額や支払い方法については交渉できる可能性があるため、現実的な解決を目指すことが重要です。
金額の交渉はできる
被害者側から提示された示談金が高額で、どうしても支払いが難しい場合には、金額の交渉を行うことができます。示談はあくまで合意によって成立するため、相手方の提示額をそのまま受け入れなければならないと決まっているわけではありません。
加害者側の資力や事案の内容、未遂であることなどを踏まえて、減額を求める余地はあります。
ですが、単に「払えません。お金がありません」と言うだけでは、被害者側の理解を得るのは難しいといえるでしょう。どの程度なら支払えるのか、なぜその金額なのかを説明した丁寧に交渉しなければなりません。盗撮や盗撮未遂に関しては当事者同士で交渉すると感情的になりやすいため、弁護士を通じて行うことが望ましいでしょう。
支払いの方法についても交渉は可能
示談金は、一括で支払うのが一般的です。ですが、経済的な事情によっては支払い方法について交渉することも可能です。たとえば、分割払い、後日払い、などが考えられます。分割払いなどの交渉では、現実的で具体的な支払い計画を提示することが大切です。
ただし、被害者側は、分割払いに不安を感じることが多いのも事実です。被害者は「早く解決して関わりを断ちたい」と考えることもあるため簡単に進められる交渉ではありません
支払い方法の交渉では、支払時期、金額、支払不能になった場合の扱いなどを示談書の中で明確にしておく必要があります。
相手が未成年の場合
被害者が未成年の場合、盗撮未遂の事件はより慎重な対応が必要になります。未成年者は法的にも保護の必要性が高く、そして、単独では法律行為ができないため保護者の意向が大きく関わってきます。
未成年の場合は保護者との交渉
被害者が未成年というケースでは、本人は単独で法律行為ができないため保護者と交渉を行うことになります。このようなケースで未成年者本人に直接連絡するのは適切ではありません。本人と交渉してしまうと、かえって大きな問題になる可能性があります。そのため、示談交渉は保護者に対して行います。
また、未成年の被害では、被害者保護の観点から、精神的苦痛がより重く評価される傾向があります。保護者の処罰感情は強くなりやすいため、示談金や謝罪方法についても慎重な対応が必要です。
盗撮未遂の示談金の交渉は弁護士に依頼するのがベスト
盗撮未遂の示談交渉は、当事者同士で進めるには非常に難しい事案です。
被害者の感情への配慮が必要ですし、精神的なダメージが大きくなりやすいため加害者本人が直接示談金の交渉をすると、謝罪や解決のつもりであってもより不快感を与えてしまう可能性があります。
そのため、示談金の交渉や示談の成立を目指すのであれば、発覚直後の早い段階で弁護士に相談して交渉するのが現実的です。
本人との直接交渉は難しい
盗撮未遂では、加害者本人が被害者に直接連絡して示談を求めるのは避けるほうが賢明です。
盗撮未遂は性犯罪的な要素があるため被害者側からすれば、加害者本人から突然連絡が来ること自体が大きなストレスになりますし、恐怖や怒りをさらに強めてしまう可能性があります。電話、手紙、SNS、会社や学校への接触などは、その方法を誤ると二次被害と受け取られる可能性があります。
また、本人同士で交渉すると、感情的な対立に発展しやすいため、示談がまとまらないだけでなく、さらなるトラブルに発展するかもしれません。被害者との示談の有無が刑事事件の処分にも不利に働くことがあります。
だからこそ、被害者対応に慣れて法律のプロである弁護士を通じて示談交渉を進めることが重要です。可能であれば、駅の事務所で事情を聞かれている段階で弁護士事務所に連絡して対応するといいでしょう。
冷静に交渉ができる
弁護士に依頼する最大のメリットは、冷静かつ法的に適切な交渉ができる点です。弁護士は、示談金の相場、事案の悪質性、被害者の感情、処分の見通しなどを踏まえて、現実的な解決案を提示できます。
また、被害者にとっても加害者本人ではないためストレスを感じにくくなるでしょう。弁護士という第三者を介することで、謝罪や反省の意思も、適切な形で被害者側に伝えることができます。
また、示談書の内容についても、後々のトラブルを避けるための条件を正確に明記できます。早期解決を望むのであれば、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、被害者との示談交渉を進めるのが双方のためになります。
弁護士に依頼すると費用はかかりますが、リスク回避と被害者の負担を軽減するためにも弁護士への依頼が適切です。
まとめ
盗撮未遂の示談金は、既遂の場合よりは傾向があるものの、一律の金額で決まるわけではありません。一般的には数十万円程度が目安になることが多いですが、悪質の場合や被害者の精神的苦痛が大きい場合は、50万円以上になることもあります。盗撮未遂の示談金については、相場だけで単純に判断するのではなく、事案の内容を個別に見る必要があります。
また、盗撮は未遂であっても刑事事件や民事事件になる可能性があります。そのため、示談は不起訴処分や前科回避、民事上の損害賠償請求のリスク軽減において重要な意味を持ちます。盗撮未遂という行為の性質上、被害者本人との直接交渉は難しく、感情的な対立を招きやすくなります。仕事や家族への影響を最小限にするためにも、早期に弁護士へ相談し、状況を整理して適切な流れでスムーズに示談交渉を進めることが、最も安全で現実的な対応となります。
