【未成年への性犯罪】示談の流れやメリットと示談金の相場目安を解説

未成年への性犯罪で逮捕されるかもしれないという状況で、示談交渉について悩んでいませんか?
実は、未成年への性犯罪であっても、適切な手続きを踏めば示談による解決の可能性が高まります。
示談が成立すれば、不起訴処分や刑の軽減といった刑事処分への好影響が期待できるからです。
特に初犯の場合や被害者側が示談に応じる意思を示している場合は、早期の示談交渉が重要です。
未成年への性犯罪では被害者が未成年のため示談交渉が難しく、専門的な知識を持つ弁護士への早期相談が不可欠です。
適切に対応し、あなたやご家族の将来への影響を最小限に抑えましょう。
この記事でわかること
・示談交渉の進め方
・示談によって得られるメリット
・弁護士に依頼すべきタイミング

平成28年3月 八千代松陰高等学校 卒業
令和2年3月 早稲田大学法学部 卒業
令和4年3月 早稲田大学大学院法務研究科 卒業
目次
性犯罪とは
性犯罪とは、自らの性的欲求を満たすために行われる違法行為です。
性犯罪には被害者が存在し、性的な被害を受けた方は心身に深刻なダメージを負うケースが少なくありません。
法律上、性犯罪に対しては厳しい刑罰が科される傾向にあります。
特に被害者が未成年の場合、成人が被害者の場合と比べ重い処罰が下される可能性が高いです。
性犯罪は被害者の人生を大きく変えてしまう、重大な犯罪として位置付けられています。
未成年への性犯罪を処罰する法令
未成年への性犯罪を処罰する法令は下記のとおりです。
①刑法
②児童買春・児童ポルノ禁止法
③児童福祉法
④青少年健全育成条例
①刑法
未成年に対し本人の意思に反して性的な行為を行うと、刑法による処罰対象となります。
代表的な犯罪類型として、不同意性交等罪および不同意わいせつ罪が挙げられるでしょう。
前者は暴力や威嚇によって性交渉等に及んだ際に問われる罪で、5年以上の拘禁刑が科されます。
後者は性交渉には至らない身体への接触などのわいせつ行為が対象で、6カ月以上10年以下の拘禁刑が定められています。
注目すべきは16歳に満たない被害者への特例規定です。
この年齢未満の相手との性交渉等は本人が承諾していても処罰されます。
ただし13歳から16歳未満の相手については、行為者が5歳以上年上の場合のみ罰せられる扱いです。
②児童買春・児童ポルノ禁止法
未成年者との性的行為を罰する法律には、児童買春・児童ポルノ禁止法もあります。
正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」です。
この法律では18歳未満を児童と位置付け、金銭や物品などの対価を渡す約束をして性交渉等を行う行為を禁じています。
違反した場合の罰則は5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
他の法令との大きな違いは「対償の供与またはその約束」という要件がある点です。
報酬を支払ったり支払う約束をしたりして、18歳未満の者と性的な関係を持った場合に適用されます。「買春」という経済的対価が伴う行為を特に厳しく規制しています。
③児童福祉法
児童福祉法は子どもの健やかな成長を守るための法律です。
この法律では性行為そのものよりも、子どもを性的な行為に関わらせる状況を作り出すことを規制しています。
18歳未満の児童に「淫行をさせる行為」を禁止しており、違反すると10年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科が科される可能性があります。
「淫行をさせる行為」は未成年者の性的な行為を斡旋したり仲介したりするケースが該当します。
第三者が未成年と別の人物との性的関係を取り持つような行為です。
④青少年健全育成条例
各都道府県では青少年の健やかな育成を目指して、青少年健全育成条例を制定しています。
名称は自治体により多少異なる場合があるでしょう。
若年層の健全な発達を図るには、悪影響となり得る周辺環境を取り除く必要があります。
そのため各条例では、18歳に満たない者との不適切な性的関係を禁じているのです。
細かな規制内容や表現は条例ごとに違いがあるものの、不当な手段による性行為等を処罰する点は一致しています。
14歳以上20歳未満の加害者については少年法が適用されるため、刑事手続きではなく少年事件として扱われる点に注意が必要です。
刑事事件における示談とは
刑事事件における示談とは、事件による民事的な損害賠償問題を当事者間の協議で解決する仕組みです。
加害者側は被害者が受けた損害に対して金銭による補償を行います。
被害者側はその賠償内容に合意し、民事上の責任が解消されたことを双方で確認します。
ケースによっては被害届の取り下げや、加害者への宥恕の意思表示が含まれることもあるでしょう。
被害者が未成年の場合は、法定代理人である保護者との間で示談交渉を進めます。
賠償金の支払いも保護者に対して行われるのが一般的です。

弁護士
未成年者本人ではなく親権者が示談の当事者となる点に注意が必要です。
示談をするメリット
示談をするメリットには以下が挙げられます。
刑事処分への影響
被害者との示談成立は、刑事処分に大きな好影響をもたらします。
捜査中であれば不起訴処分の可能性が高まり、裁判が始まっている段階では判決での執行猶予や刑の減軽が期待できるでしょう。
さらに身柄を拘束されているケースでは、釈放される可能性もあります。
示談書は当事者間の約束にすぎず、検察官や裁判官を法的に拘束するものではありません。
しかし示談が成立している事実は、処分を決める上で重視される要素です。
被害者の処罰への感情が和らいでいることや、被害回復がなされていることが評価され、寛大な処分につながりやすくなります。

弁護士
特に初犯の場合は、示談の有無が刑事処分の結果を左右する重要なポイントです。
民事紛争の事前解決
被害者が存在する刑事事件では、刑事手続きとは別に民事上の責任も発生します。
被害者側から損害賠償や慰謝料を求められる可能性があります。
示談を結ぶことで、これらの民事的なトラブルを前もって解決できる可能性が高くなるでしょう。
示談書に「本件に関する一切の債権債務がないことを確認する」といった条項を盛り込めば、後から追加の請求を受けるリスクを防げます。

弁護士
刑事と民事、両方の問題を同時に片付けられる点が、示談の大きなメリットです。
刑事処分が終わった後に民事訴訟を起こされると、さらに時間も費用もかかってしまいます。
早期の示談によって将来の不安を取り除くことができるでしょう。
未成年への性犯罪での示談の必要性
未成年への性犯罪は、相手が未成年者である点で社会的非難が極めて強い犯罪です。
そのため、示談を行うことは決して免罪を目的とするものではなく、被害者への真摯な謝罪と被害回復を図る重要な手段として考える必要があります。
成人被害者の場合、示談成立により不起訴処分となる可能性もありますが、未成年への性犯罪では示談だけで不起訴になる事例は多くありません。
未成年は保護対象であり、社会的影響の大きさから検察の判断も厳しくなるためです。
しかし、示談が成立していない場合には不起訴の可能性がほとんどないのも事実です。
被害者やその保護者に誠意を示し、慰謝料の支払いなどで被害回復に努める姿勢は、捜査機関や裁判所への評価にもつながります。
また、勾留中であれば、示談成立により早期釈放の可能性が高まる場合もあります。
したがって、未成年への性犯罪であっても、示談は必ず検討すべき対応方法といえるでしょう。
未成年への性犯罪で示談する際の流れ
未成年者への性犯罪事件では、示談交渉を弁護士を通じて進めることが大切です。
被害者本人だけでなく保護者の感情にも十分配慮し、適切な手順を踏む必要があります。
示談を法的に有効な形で成立させるためには、弁護士による専門的な対応が欠かせません。
示談交渉は迅速かつ慎重に行う必要があり、一般的に次のような流れで進みます。
①弁護士への相談・依頼
まず弁護士に相談し、事件の状況を説明したうえで依頼を行います。
②被害者側(保護者)への連絡
依頼後は弁護士が代理人として被害者側と連絡を取り、謝罪の意思と示談交渉の申し入れを行います。依頼者は被害者側と直接連絡する必要はありません。
③示談条件の交渉
次に、被害者側が交渉に応じた場合、示談金の金額や支払い方法、接近禁止やカウンセリング費用の負担などの条件を調整します。
④示談書の作成・締結
双方が合意したら、その内容を法的効力のある「示談書」にまとめ、保護者と加害者が署名・押印して締結します。
⑤示談成立の報告
最後に、弁護士が示談成立を警察や検察へ報告し、不起訴や量刑の軽減といった寛大な処分を求めます。
弁護士を通じて適切に示談を行い、被害者への誠意を示することが、事件解決へとつながります。
示談金の相場目安
未成年への性犯罪における示談金に、明確に定まった相場はありません。
具体的な行為の態様や被害の程度、被害者側の処罰感情の強さによって、賠償すべき金額は大きく変動するためです。
あくまで実務上の目安ですが、交渉の範囲は以下のようになるケースが多く見られます。
- 性交を伴わないわいせつ行為:数十万円~100万円程度
- 性交を伴う行為(不同意性交等):100万円~300万円程度
被害者が未成年者の場合、その将来への影響や精神的苦痛は計り知れません。
そのため、被害者が未成年者である場合は、成人の事件と比べて示談金は高くなる傾向にあります。
ただし、示談の成否は金額だけで決まるものではない点を知っておくべきでしょう。

弁護士
最も重要なのは、被害者と保護者に対し、真摯な謝罪の意を伝えることです。
「お金で解決しようとしている」と受け取られれば、交渉は決裂しかねません。
示談書には、示談金の支払いと共に「今後一切接触しない」といった条項を明記します。
これが被害者側の不安を取り除く配慮にもつながるでしょう。
刑事事件で早めに弁護士に相談すべき理由
刑事事件の被疑者となった場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談してください。
それが最も良い結果につながる可能性が高まります。
事件の初期段階での対応が、その後の刑事手続き全体を左右するからです。
特に逮捕・勾留された場合は時間との勝負になります。
早期に弁護士に依頼することで、以下のメリットを得ることが可能です。
①取調べへの適切な対応
取調べのアドバイスを受け、不当に不利な供述調書が作られるのを防ぐことができます。
②示談交渉の円滑化
被害者側の感情を考慮しつつ、冷静かつ法的に適切な形で示談交渉を進められるでしょう。未成年の性犯罪では特に繊細な対応が求められます。
③刑事処分の軽減
示談成立や反省の態度を具体的に示し、不起訴処分や執行猶予の獲得を目指します。
④生活への影響の最小化
早期の身柄解放を目指し、職場や家族への影響を可能な限り抑える対策を講じます。
刑事事件の経験豊富な弁護士に任せることが、加害者側の権利を守り、最も安全で確実な解決策といえるでしょう。
まとめ│未成年への性犯罪の示談は弁護士にご相談ください
未成年への性犯罪事件では、示談の成否が今後の人生を大きく左右します。
示談を適切に進めるためには、法律と被害者心理の両面を理解した弁護士のサポートが不可欠です。
未成年の被害者や保護者は強い感情を抱えており、加害者本人が直接交渉すると示談が破談になる恐れがあります。
そこで弁護士が間に入ることで、法的に有効な示談書を作成し、不起訴や刑の軽減につながる可能性が高くなります。
弁護士を通じて誠意ある対応を行えば、被害者の理解を得やすく、事件の早期解決にもつながりやすくなります。
特に性犯罪事件は慎重な配慮が必要であり、専門的な知見を持つ弁護士に一任するのが最善の方法です。
未成年への性犯罪で示談を検討している方は、一人で抱え込まず、刑事事件に強い西船橋ゴール法律事務所へお気軽にご相談ください。
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