未成年淫行で警察から呼び出されたらどうする? 示談の流れと注意点を弁護士が解説
児童ポルノ・児童買春
ある日突然、警察から「未成年者との淫行の件でお話を伺いたい」と連絡が来たら、どう対処すべきでしょうか?
多くの人は頭が真っ白になり、「逮捕されるのか」「職場や家族に知られてしまうのか」「示談で解決できないか」といった不安でいっぱいになることでしょう。
近年、SNSやマッチングアプリなどを通じて知り合った未成年者との関係が、青少年健全育成条例に違反する「淫行」とみなされ、警察の捜査対象となるケースは少なくありません。
この記事では、刑事事件の経験が豊富な弁護士が、
「未成年者との淫行を疑われ、警察から呼び出された場合にどうすべきか」
「示談によって事件を穏便に解決するためにはどうすればよいか」
について、具体的な対応策を解説します。

法政大学法学部卒業
学習院大学法科大学院修了
アトム法律事務所
アトム市川船橋法律事務所
令和5年1月 西船橋ゴール法律事務所開業
所属:千葉県弁護士会
目次
「未成年淫行」とはどのような犯罪で、いかなる法律で処罰されるか

弁護士
実は、「未成年淫行」という罪名は法律にはありません。
未成年淫行とは、不当な手段を使って18歳未満の未成年者と性的な行為(性交やわいせつな行為)を行うことを広く指します。
未成年淫行を規制・処罰する法令は、都道府県の青少年健全育成条例、児童買春・児童ポルノ禁止法、刑法、児童福祉法など多岐にわたるのが特徴です。
以下、各法令の概要を説明します。
青少年健全育成条例
全国の都道府県では、青少年の健全な成長を守る目的で青少年健全育成条例を定めています。
(条例の名称は都道府県によって異なる場合あり)
青少年の健全な成長を促すためには、悪影響を与えかねない環境要因を排除する必要があります。

弁護士
「淫行」を罰するルールもその一つと言えるでしょう。
淫行の規制内容は条例によって要件や表現が異なりますが、18歳未満の者と不当な手段で行う性行為等を禁止する点は共通しています。
たとえば、千葉県の条例では以下のように定められています。
千葉県青少年健全育成条例20条1項(みだらな性行為等の禁止)
「何人も、青少年に対し、威迫し、欺き、又は困惑させる等青少年の心身の未成熟に乗じた不当な手段によるほか単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められない性行為又はわいせつな行為をしてはならない。」
この規制に違反する行為は、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります(同条例8条)。
なお、本条例の行為主体は「何人も」と定めていますから、加害者が未成年であるケースも含まれることに注意してください。
ただし、14歳以上20歳未満は少年法が適用される「少年」であることから、刑事事件ではなく少年事件として扱われます。
児童買春・児童ポルノ禁止法
未成年淫行を処罰する法律としては、児童買春・児童ポルノ禁止法(正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)も挙げることができます。
児童買春・児童ポルノ禁止法第3条の2(児童買春、児童ポルノの所持(中略)の禁止)
「何人も、児童買春を(中略)してはならない。」
この規制に違反すると、5年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金が科せられます(同法4条)。
児童買春・児童ポルノ禁止法は、児童について「18歳に満たない者」と定めています。
この点は青少年健全育成条例と同じ基準です。
他の法令と異なるのは、児童買春の定義を「対償を供与し又はその供与の約束をして、当該児童に対し性交等をすること」としている点です。
お金等の対価を与えたり、その約束をしたりして未成年者と淫行を行った場合に適用されることになります。
刑法
未成年者の同意なく無理やり性的行為に及んだ場合のような悪質なケースでは、条例や児童買春・児童ポルノ禁止法ではなく、刑法が定める以下の罪名が適用されます。
刑法第177条(不同意性交等罪。2023年刑法改正で旧強制性交等罪から改称)
暴行や脅迫を用いたり、相手が抵抗できない状態にあることに乗じたりして、性交などを行った場合に成立します。
不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑です。
刑法第176条(不同意わいせつ罪。2023年刑法改正で旧強制わいせつ罪から改称)
不同意性交等罪と同じような状況で、性交以外のわいせつな行為(体を触るなど)をした場合に成立します。
不同意わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑です。

弁護士
また、相手が16歳未満のケースには、注意が必要です。
不同意性交等罪には、被害者が16歳未満だった場合を想定した特別な規定があります。
刑法177条3項
「16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。」
この規定があることで、
・被害者が16歳未満だった場合、たとえ同意があっても不同意性交等罪に該当する
・ただし、被害者の年齢が13歳以上16歳未満だった場合は、加害者が5歳以上年長である場合にかぎり処罰する
という変則的な取り扱いになっているのです。
たとえば、15歳の女性と性交した男性は、その女性の同意があっても刑法177条3項で処罰されるのが原則です。しかし、性交したときの男性の年齢が19歳だったとしたら、「5歳以上年長である場合にかぎり処罰する」という規定に該当しません。したがって女性の同意のもと性交したのであれば、不同意性交等罪は成立しません。
他方、男性が21歳だったとしたら、「5歳以上年長」に該当してしまうため、たとえ女性の同意があったとしても不同意性交等罪が成立します。
児童福祉法
児童福祉法は、子どもの健全な育成を目的とする法律です。
同法では直接的な性行為そのものを罰するというよりは、子どもに性的な行為をさせる環境を作ることなどを禁じています。
児童福祉法第34条1項6号は、児童(18歳未満の者)に「淫行をさせる行為」を禁じており、これに違反した場合、10年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられる可能性があります。
同号の「淫行をさせる行為」とは、第三者が未成年者と他の人との性行為を仲介するようなケースのことです。
以上説明した通り、未成年淫行は、単一の法律ではなく状況に応じて複数の法律や条例によって禁止されています。
| 未成年淫行を規制する法令一覧 | |
| 行為の形態 | 適用される法令 |
| 同意があり、金銭等のやり取りがない | 都道府県の青少年健全育成条例 |
| 金銭等のやり取りがある | 児童買春・児童ポルノ禁止法 |
| 暴力や脅迫などが原因で同意がなかった | 刑法(不同意性交等罪、不同意わいせつ罪) |
| 第三者が未成年者に対して淫行させた | 児童福祉法 |

弁護士
どの法令が適用されるかによって、刑罰の重さも大きく変わります。
また、法令の解釈や適用は具体的な状況によって異なります。
ここまでの解説はあくまで一般的かつ基本的な内容であることに注意してください。
判例等をふまえたより具体的で正確な情報が必要な場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
警察はどのような場合に呼び出すのか?
警察が「未成年者との淫行」の疑いであなたに連絡してくるのは、主に以下のようなきっかけがあった場合です。
警察から連絡があるケース
- ・被害者本人やその保護者から警察に被害届や相談があった
- ・スマートフォンの履歴などから、性的な関係を示す証拠が見つかった
- ・学校関係者や友人など、第三者からの通報があった
警察から「任意での事情聴取をお願いします」と呼び出された場合、その時点ですぐに逮捕されることはまずありません。
しかし、取調べでの受け答え次第では、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断され、逮捕・勾留といった身柄拘束の手続きに進む可能性もあります。
警察の取り調べに対してどのように受け答えすればいいか、適切に判断するためには専門的な知見が必要です。
したがって、最初に呼び出された時点ですぐに弁護士に相談し、今後の見通しや適切な対応方法を考えることが理想的です。
独力で弁護士を見つけることが難しい場合は、家族や友人など親しい人に連絡し、「未成年淫行で逮捕されるかもしれない」と告げて、刑事弁護の経験が豊富な弁護士を探してもらうように頼んでおくとよいでしょう。
身柄拘束された場合は、迅速な面会と打ち合わせ(接見交通)が欠かせませんので、できれば地元の弁護士から選ぶのがおすすめです。
警察から呼び出された際の禁止事項
いきなり警察から未成年淫行の容疑で呼び出されると、気持ちが激しく動揺してしまいます。
とはいえ、呼び出しを無視すると身柄を拘束される可能性が高くなります。
事態を悪化させないためにも、以下のような行動は絶対に避けるようにしましょう。
避けるべき行動
- ・呼び出しの無視
- ・感情的な言い訳や安易な否認
- ・被害者やその家族への直接連絡
呼び出しの無視
警察からの連絡を無視しても、問題が自然に解決することはありません。
むしろ、「逃亡のおそれがある」と判断され、逮捕状を請求される大きな理由になってしまいます。
感情的な言い訳や安易な否認
警察に対して「相手も同意していた」「18歳以上だと思っていた」などと焦って弁解すると、その発言が記録され、後になって不利な証拠として扱われる危険があります。
取調べの初期段階での発言を後から覆すのは簡単ではありません。
被害者やその家族への直接連絡
「謝罪したい」「示談の話をしたい」という気持ちから、警察からの呼び出しに応じる前に自ら被害者に連絡を取ろうとする行為は絶対に避けてください。
相手から「脅されている」「口止めをしようとしている」と受け取られる結果、被害感情が増幅し、示談を拒絶されるおそれがあるからです。
未成年淫行で示談する場合の流れ
未成年淫行の疑いを持たれたり、警察に身柄を拘束されたりした場合に、最優先で検討したいのが「被害者との示談」です。
示談とは何か
示談とは、事件の当事者(加害者と被害者)が話し合い、加害者が謝罪の気持ちを示し、被害の回復や精神的苦痛に対する慰謝料として示談金を支払うことなどを約束する、当事者間の合意のことです。
刑事事件において示談が成立している事実は、検察官が起訴・不起訴を判断する際や、裁判官が刑の重さを決める際に、加害者に有利な事情として考慮されます。
示談交渉の一般的な流れ
刑事事件における示談交渉は、以下の流れで進めていきます。
(1)弁護士への相談・依頼
弁護士に相談し、事件の見通しや示談の可能性について助言を受けます。
依頼後は、弁護士が代理人として被害者側とのすべての交渉窓口となります。
(2)弁護士から被害者側への連絡と条件交渉
弁護士が被害者(またはその保護者)に連絡を取り、真摯な謝罪の意を伝えた上で、示談金の額や支払い方法などの条件について交渉を進めます。
(3)示談書(合意書)の作成と取り交わし
双方が合意した内容を、法的に意味のある形で「示談書」として書面にまとめ、署名・押印します。
(4)警察・検察への示談成立の報告
示談が成立したことを、弁護士が捜査機関(警察や検察)に報告し、不起訴処分など寛大な処分を求めます。
刑事事件で示談する場合の注意点
未成年淫行のような刑事事件で示談を進める場合、以下の点に注意する必要があります。
示談は必ず弁護士に依頼する
先に説明したように、はやる気持ちから自ら被害者に連絡して示談しようとすると、相手に拒絶されて示談できなくなるおそれがあります。
示談を進める場合に最も重要なのは、「刑事事件の取り扱いが豊富で、示談の知見に優れている弁護士に代理してもらう」ということです。
刑事事件における示談を成功させるためには、相手方の状況等にも充分配慮した交渉が不可欠であり、そのためには刑事事件の示談をまとめた経験が問われるからです。
弁護士を介さない示談交渉のリスクとは?
弁護士を立てずに自分で示談交渉を試みることには、以下のようなリスクがあります。
- ・被害者や保護者の感情を逆なでし、示談が不可能になるおそれがある
- ・作成した示談書の内容に法的な不備があると、あとから「示談は無効だ」と主張される
- ・一度示談金を支払った後で、再び被害届を出されるなど、トラブルの蒸し返しに発展しかねない
- ・捜査機関から「当事者間で不適切なやり取りをしている」とみなされると、反省していないと評価され、身柄拘束や起訴の可能性が高くなる
示談は単なる謝罪やお金のやり取りではなく、法的な意味合いを持つ手続きです。
感情的にならず、冷静かつ適切に進めるためには、専門家である弁護士のサポートが不可欠です。
示談金の相場は?
示談金の額は、行為の内容や被害の程度によって大きく変わりますが、実務上の目安としては以下の範囲で交渉されることが多いです。
・わいせつな行為(性交なし)の場合: 数十万円~100万円程度
・性交があった場合: 100万円~300万円程度(事案によってはこれ以上になることもあり)
特に、未成年者に対する不同意性交等罪が成立するような事件の場合、被害感情の強さや、被害者の将来に対する影響の大きさなどから、示談金が高額になる傾向があるので注意しましょう。
ただし、示談の成否を左右するのは金額だけではありません。
被害者に真摯な謝罪の気持ちを伝えて納得してもらうことが大切です。相場よりも高額な慰謝料を提示して暗に示談を推し進めようとすると、「被害者の気持ちを理解していない」「金で解決しようとしている」と悪く受け取られることもあるので注意しましょう。
また、示談書には示談金の支払い方法のほか「今後一切接触しない」といった約束事(接触禁止条項)を明記するなど、後のトラブルを防ぐ方策を提示することも大切です。
示談の成立が事件の処分に与える影響
検察官が事件を起訴するか、不起訴にするかを判断する上で、示談の有無は非常に重要な判断材料となります。
- ・被害者との示談が成立している
- ・被害者が加害者の処罰を望んでいない(宥恕条項)
- ・加害者が深く反省している
これらの事情が示談書などを通じて客観的に示されれば、検察官が「今回は起訴を見送る(起訴猶予)」という判断を下す可能性が高まります。
反対に、示談がまとまらず、被害者の処罰感情が強いままだと起訴されて裁判になるリスクが高くなります。
当事務所における実際の示談事例
ここからは、西船橋ゴール法律事務所が実際に受任した未成年淫行事件の中から、示談によって不起訴にいたった事例を2つご紹介します。
ケース1:マッチングアプリで出会った未成年の女性とホテルで性的行為に及び、後日逮捕された事例
(事実関係)
依頼者である30代男性の方が、マッチングアプリで出会った未成年の女性とホテルで性的行為に及び、後日逮捕された。
(当事務所の対処)
男性の母親から依頼を受けた後、男性が勾留されている警察署で接見。早期釈放と示談の意向を確認後すぐに検察庁へ連絡しました。
検察官から連絡を受けた被害者の母が話を聞くとのことだったので、弁護士が何度かやり取りした後、示談が成立。
✅ 検察官にすぐ連絡した結果、男性は不起訴処分となり、前科がつくことを回避できました。
ケース2:年齢を偽っていた中学生の女性と交際し、後日逮捕された事例
(事実関係)
依頼者である20代男性の方が、マッチングアプリで出会った女性と交際することになり、ホテルで関係を結んだ。後日、その女性が中学生であると判明し、逮捕された。
(当事務所の対処)
男性は、女性が自ら申告した年齢を信じていたため、「20代の自分が交際しても問題ないだろう」と判断したようです。
しかし、交際が破局したあと、「自分は中学生だったことをちゃんと伝えた」と女性が主張して警察に被害届を出したために逮捕されてしまいました。
このケースの場合、男性は16歳未満の女性と性交をしており、かつ女性よりも5歳以上年長だったため、たとえ女性の同意があったとしても刑法177条3項により不同意性交等罪が成立する可能性がありました。
当事務所の弁護士は、警察での取り調べ段階からきめ細かなアドバイスを実施しました。
検察庁送致後、検察官のすすめもあって被害者との示談に取り掛かりました。
男性としては、相手が中学生だったことは知らなかったという立場を堅持していましたが、結果的に女性やその家族に心労を与えてしまったことなどを理由に、謝罪をして示談したいとの意向を示しました。
当弁護士も男性の気持ちが最大限相手方に伝わるよう善処した結果、金銭賠償による示談が無事成立し、不起訴処分に持っていくことができました。
弁護士の早期対応こそが示談成立のカギ
2つのケースに共通するのは、「早期に弁護士へ相談したこと」が示談成立につながったという点です。
示談交渉が遅れると、被害者やご家族の不信感、被害感情が増幅するおそれがあります。
金銭賠償で示談するからといって、必ず被害感情が癒されるわけではありませんが、少しでも示談成立の可能性を高めるには、早期の弁護士介入が必須と言えるでしょう。
刑事事件では、なぜ早期に弁護士に相談すべきなのか
未成年淫行にかぎらず、刑事事件の犯人として疑われたケースでは、警察が介入した初期段階で弁護士に相談することで、以下のようなメリットが期待できます。
- ・取調べの対応方法について具体的なアドバイスを受けられるので、不利な供述調書が作成されるのを防げる
- ・被害者との示談交渉を、感情的な対立を避けながら、法的に適切な形で進めることができる
- ・身体拘束(逮捕・勾留)や起訴の回避、執行猶予などが期待できる
- ・家族や勤務先への影響を最小限に抑えるための対策を提案できる
特に未成年者が被害者となる性犯罪事件では、被害者側の感情が非常にデリケートな状態であるため、慎重なコミュニケーションが求められます。
刑事事件の経験が豊富な弁護士に任せることが、最も安全で確実な解決策と言えるでしょう。
未成年淫行で逮捕されたら、すぐにご相談を
刑事事件に強い西船橋ゴール法律事務所では、未成年者が関わる性犯罪事件の弁護活動にも力を入れています。
早期の示談交渉を通じて不起訴処分を獲得した経験も数多くありますので、安心しておまかせください。
「突然、警察から呼び出されてしまい、どうすればいいか分からない」
「未成年淫行の疑いで家族が逮捕されてしまった。事実関係が全然わからないのでとても不安だ」
このような緊急事態に直面したときは、一人で抱え込まないことが大切です。
警察が介入している事件の場合、法律相談の費用は30分まで無料ですので、お電話(土日祝日も対応)やメール(24時間受付)にてお気軽にご相談ください。
【参考ページ】
あわせて読みたい
