刑事事件における示談とは何か?示談の流れや注意点についても解説
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平成28年3月 八千代松陰高等学校 卒業
令和2年3月 早稲田大学法学部 卒業
令和4年3月 早稲田大学大学院法務研究科 卒業
目次
示談とは
示談というのは、被害者に対して働きかけて、加害者に対し許しを得るよう働きかけることです。

弁護士
示談を成立させるためには、色々なことを考えて動かなければなりません。
示談の効果
逮捕・勾留段階、つまり、起訴される前の段階においては、示談の成立は、身柄を解放するうえで有利な事情として扱うことができます。
また、起訴か不起訴かを検察官が判断するうえでも、示談の成立は有利な事情として働きます。
また、起訴された場合にも、示談の成立によって、情状面で有利になるといえます。

弁護士
つまり、執行猶予付きの判決になったり、懲役の期間が短くなるといった効果が考えられます。
示談の準備
示談ではまず連絡先を入手する
それでは、弁護士が、示談を成立させるために、まず何をするのでしょうか。
示談をするためには、被害者と連絡をとる必要があるため、被害者の連絡先を知る必要があります。
通常、被害者の連絡先については、弁護士が捜査機関に問い合わせることによって、入手することになります。
具体的には、その事件を担当している検察官や警察官へ問い合わせることになるでしょう。
問い合わせ先
まだ検察庁に送致されていない場合→警察官
送致されている→担当の検察官か警察官
そして、弁護士から連絡を受けた場合に、検察官等は、被害者に対して、連絡先を弁護士に開示してよいか尋ねます。

田中隼斗
被害者の了承が得られた場合には、弁護人に連絡先が伝えられることになります。
ほかの手段としては、加害者が被害者の連絡先を知っているケースがあります。
しかし、弁護士が連絡先を加害者から知った場合に、突然連絡をするわけではありません。
示談の成立には、被害者への配慮がなにより重要です。
そのため、この場合でも、検察官を通して、被害者の意向を確かめたうえで、連絡をすることが考えられます。
しかし一方で、検察官を通すということは、検察官から何らかの働きかけが及ぶ可能性があるということでもあります。
そのため、事案に応じて、被害者がどの程度の処罰感情を抱いているかも考慮しつつ、場合によっては、検察官等を通さずに、連絡すべき場合もあると考えられます。
また、被害者から、連絡先の開示をしたくないといわれた場合には、検察官等を通じて、手紙を渡すなどの手段をとることも考えられます。
示談の相手によって準備が違う
被害者の連絡先を入手したら、示談の成立に向けて準備をします。
示談の相手がどのような人物か、どのような関係にあるかによって取るべき準備も変わっていきます。
被害者が知人・家族など、何らかの関係がある場合
被害者と依頼者に関係性が認められる場合には、その背景に何らかの事情があることがほとんどだといえます。
そのため、このような場合には、まず、被害者と依頼者の関係を確認することが必要となります。
被害者が示談に応じてくれるかは、この関係性をどこまで把握できるかが重要な要素といえます。
また、被害者と依頼者の共通の知人がいれば、そのような第三者から情報を得ることも考えます。

弁護士
その際にも、被害者・依頼者のプライバシーには、十分配慮しなければいけません。
また、このように関係がある場合には、依頼者本人の言葉を直接伝えることが重要となります。
依頼者のことについて、すでに知られているわけですから、依頼者本人に手紙などを書かせ、依頼者自身の言葉を伝えることが、示談の成立のための重要な要素となります。
被害者が加害者と面識のない場合
このような場合、被害者としては、わけもわからず被害にあうことになります。
その際、被害者はどう思うでしょうか?
加害者と面識のない被害者であれば、なぜ自分が狙われたのかという疑問が一番にくるでしょう。
そのため、その説明を求めるケースが多いといえます。
また、このような被害者は、自身の対応次第で、今後犯人から、逆恨みされるのではないかと恐怖する場合もあるでしょう。
こういったときには、弁護士として、犯人への恐怖を減らすような対応をすることが必要となります。例えば、犯人である依頼者から、今後被害者へは近づかないというような誓約書を入手することなどが考えられます。また、被害者との対応において知った情報については、弁護士のみが知ることにするということや、被害者の個人情報については、マスキング、つまりテープをはってみることができないようにするなどの配慮をすることを伝えることが重要です。
被害者が大型店舗の場合
これは、万引きなどのケースでよく見られます。
大型店舗では、多くの場合、示談交渉に対してどのような対応を取るのかということが、組織としてきまっていることが多いです。
しかし、示談について担当するものと商品の管理を任されているもの、つまり店長は別の人物の場合もあります。
その場合には、店長に対して、店の方針に反しない限度で書面を作成してくれるように依頼するなど、弁護士ができることがあります。
被害者以外の人と対応する場合
被害者が未成年である場合や、被害者が亡くなった場合には、被害者の親族と対応する必要があります。
その時には、まず、示談の権限があるのかどうかを確認することが必要です。
この場合には、被害者側で対応をする人が誰なのか確認するのに時間がかかるケースもあります。
また、未成年者が被害者になった場合には、通常は親権者である親と対応することになります。
未成年者の受ける影響は成人と比べて大きいと考えられるため、親自身も強い処罰感情をもつことが考えられます。
そのため、示談に向けた動きも慎重にする必要があります。
以上が、それぞれの対応の違いについてです。
示談の進め方
連絡方法を決める
まず、連絡方法を手紙にするか、電話にするかを考えます。
通常、手紙のほうが丁寧な印象を持たれるため、時間があれば、手紙による連絡も考えます。
しかし、刑事事件においては、示談交渉を急ぐケースが多いです。
その場合には、電話で連絡を行います。
そして、被害者と連絡が取れたあとに、直接会うことになった場合には、被害者に十分に納得をしてもらうために、説明を尽くす必要があります。
謝罪文を受け取ってもらえない場合は?
また、上述したような謝罪文についても、まず、被害者に受け取る意思があるのかについて、確認することは必要です。
また、性犯罪では謝罪文を受け取ってもらえない場合も多いため、まず、弁護士が、依頼者の謝罪の言葉を伝えるという姿勢をとることも重要となってきます。
示談を証拠化する
示談が成立したら、示談書を作成します。
その際には、①事件について②示談金の支払い義務があることまたは示談金を支払い済みであることについて③宥恕文言(いわゆる、依頼人を許します、処罰は求めませんといった内容の文言)④示談によって、お互いに権利義務がないことを示す文言(清算条項)などを記載することが多いです。
また、必要に応じて、その他も記載することになると思います。
この時に、宥恕文言は、被害者にとっては、つけるのに抵抗感がある場合も認められます。
その時には、被害者の納得のいくような文言を考えたうえで、交渉することになります。
また、示談交渉がうまくいかなかった場合には、弁護士は、そこに至るまでの経過を報告書として提出します。
また、謝罪文は、書いた場合に、謝罪文ものが、反省していることを示す証拠となります。
そのため、この謝罪文も、証拠として提出することになります。
示談における謝罪文とは?
示談成立に向けて、通常は、謝罪文を書きます。
それでは、謝罪文にはどのような内容を何通ほど書くのでしょうか。
謝罪文の内容
これは、依頼者が、被害者に対して謝罪の意思を伝えるために、書きたいと思うことを書きます。
ただ、その際には、依頼者に対して、被害者が被害を受けたことで、どんな思いでいるか、どんな苦労をしているかなどを考えたうえで、謝罪文を書く必要があります。
依頼を受けた弁護士は、加害者の方の書いた謝罪文を見たうえで、被害者に対し失礼のないようその表現や内容について確認し、依頼者にアドバイスをします。
例えば、依頼人が、事件を起こした理由や、自身の境遇などを書くことは、被害者が知りたがっている場合は別として、言い訳をしているようにとられてしまうこともあるので、注意すべきだといえます。
謝罪文を書く回数
場合によっては、一度だけではなく、何度も謝罪文を書くことによって、被害者の被害感情を弱めることも考えられます。
とはいえ、同じようなことを何度も書くというよりは、裁判になった場合に、あらためて書くなど、状況の変化があった場合に書くのが効果的だといえます。
示談金の金額はどうやって決まる?
示談金の金額は、どのように決まっていくのでしょう。
万引きなどの窃盗や詐欺の場合には、被害にあった金額を賠償するということが考えられます。
しかし、不同意わいせつ罪などの場合の慰謝料については、その金額の設定は難しいといえます。
相場はありますが、裁判官でも判断が分かれるところであるため、最終的には、根拠を示しつつ、自分の言葉で被害者に納得してもらうしかないのです。
また、示談金の提示の際には、被害者が被害として被った費用についても聞き取ったうえで、それも示談金を考慮する際に、反映させる必要があるといえます。
示談金を一括で払えない場合はどうする?
また、示談金を一括で払える資力がない場合には、分割払いによる示談を試みることもあります。
とはいえ、一括で支払うことができる場合と比べると、その示談の効果は低くならざるを得ないこともあります。
そのため、分割払いの場合には、そのようなリスクがあることを、加害者の方が理解する必要があります。

弁護士
示談において、分割払いを認めてもらえるケースがあるのは、財産犯の場合などです。
財産犯・・・万引き・窃盗・横領など
示談をどこでするか?
通常、示談の交渉をする場合には、法律事務所で行うことが多いです。
もちろん、被害者の意向がなにより大事なことは言うまでもありませんが、会話内容の秘密を守ることに最適であること、示談についての条件をその場で書面に盛り込むことができるなど、法律事務所を示談場所として選択するメリットは多くあります。
とはいえ、あくまで、被害者にそのようなメリットがあることを伝えたうえで、被害者にどうするかを選んでもらうことにはなります。
また、被害者から被害者の自宅を示談交渉の場として指定されることもあります。
しかし、第三者がいないことからリスクがあり、弁護士としては、被害者の自宅を交渉の場所とすることは、基本的に避けるようにすると考えられます。
なので、その場合には、被害者宅の近くの駅周辺のファミリーレストランを場所の候補としてあげることが考えられます。
とはいえ、それでも、被害者の方が、被害者宅に来るように求めることも考えられます。
その場合には、会話を録音させてもらうようにする、複数の弁護士で行くようにするなどして、トラブル防止の策をとったうえでいくこともあります。
被害者の自宅に行く場合、被害者が亡くなった事件の際には、仏前の対応をどのようにするかも気を付ける必要があります。
まとめ
刑事事件における示談は、被害者の方の心の傷の回復をサポートするだけでなく、加害者側にとっても処分の軽減につながる重要な手続きです。
特に、示談交渉では適切な賠償額の算定、文書の作成、被害者への誠意ある対応など、法律知識と慎重な対応が求められます。
弁護士に依頼することで、的確かつ円滑に交渉を進め、有利な形での解決を目指すことができる場合があります。
刑事事件の中で「示談をすべきか迷っている」「被害者との話し合いがうまくいかない」と感じられた場合は、千葉県船橋市の刑事弁護士 西船橋ゴール法律事務所にご相談ください。
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