窃盗の初犯で逮捕される?起訴される可能性や刑罰・示談の重要性について徹底解説

「窃盗で逮捕されて初犯の場合は前科はつくの?」
「もし相手と示談ができなかったらどうなる?」
「示談の交渉方法は?」
たとえ金額が低い万引きなどでも、窃盗罪が成立し、警察が介入すれば、刑事事件になります。
そして、刑事事件である以上、警察や検察の捜査の対象となり、処罰の対象となります。
この記事でわかること
・窃盗の初犯で逮捕された場合の流れ
・起訴される可能性
・示談の重要性
・弁護士をつけるメリット

平成17年3月 東京都立上野高等学校卒業 平成23年3月 日本大学法学部法律学科卒業 平成26年3月 学習院大学法科大学院修了 平成27年9月 司法試験合格 アトム市川船橋法律事務所 令和5年1月 西船橋ゴール法律事務所開業 所属:千葉県弁護士会
目次
窃盗罪とは?
窃盗罪は刑法の犯罪のひとつで、発生件数が多い犯罪です。

川口晴久
例えば「万引き」や「財布を盗む」などの行為も窃盗罪に該当します。
他人の物やお金を盗む行為は「窃盗罪」に該当します。
たとえ初犯であっても刑事事件として立件される可能性があり、逮捕される可能性もあります。
ここでは、窃盗罪がどのような要件で成立し、どのような刑罰が科されるのかを解説します。
窃盗罪の要件
窃盗罪は、他人の財物を窃取することで成立する犯罪です。
窃取とは、相手方の意思に反して相手方の占有にある財物を自己の占有下に移すことです。
他人のもとにあるものを盗んだ場合に成立します。
犯罪が成立するかどうかは、盗んだ物の金額は関係ありません。
解りやすい例で言えば、コンビニやスーパーでの万引き、下着、他人のカバンの中の現金やスマートフォンを盗んだケース、泥棒も窃盗です。
窃盗罪の罰則
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
罰則が適用されるのは、起訴されて刑事裁判を受けて有罪となった場合です。
裁判ではさまざまな状況が考慮されますが、場合によっては執行猶予が付くこともあります。ただし、初犯だから必ず執行猶予がつくということではありません。被害額や反省態度があるか、被害者との示談は成立しているかなどが影響します。
窃盗罪で逮捕されたらどうなる?
もし窃盗で逮捕された場合、どういった手続きになるのでしょうか。
逮捕から検察への送致、勾留、そして起訴・不起訴の判断まで、実際に刑事事件として処理されるまでの流れを解説します。
最長で23日間の拘留
窃盗事件で逮捕された場合、まずは警察の取調べを受けます。そして、逮捕から48時間以内に検察へ送致するかが判断されます。これを送検といいます。
送検された場合は、検察官による取調べが行われます。このケースでは、取調べの段階で最大で23日間の身体拘束を受けることになります。
捜査機関で取り調べが行われる
逮捕後は、警察や検察による取り調べが行われます。犯行の動機、被害状況、反省の態度などを考慮して、起訴・不起訴の判断材料となります。
逮捕後48時間以内に検察に送致される
刑事訴訟法の規定に基づき、警察は原則として逮捕から48時間以内に被疑者を検察に送致します。
微罪処分の可能性
窃盗の被害が軽微で、初犯であり前科・前歴がなく、警察の判断で「微罪処分」として釈放されることもあります。この場合は送検されることなく釈放されます。
ここでも示談交渉の成立が関係していきます。示談が成立していれば、場合によって被害者が被害届けを取り下げてくれるというケースもあるため、微罪処分として取り扱われる可能性が高くなるのです。
起訴するかどうかを決めるのは検察官
逮捕された後、刑事事件として正式に裁判をするかどうか決定権は検察官にあります。これを起訴といいます。警察による取調べのあと、検察に送致され、ここで検察官が捜査資料・証拠・供述・被害者の意向などを総合的に「刑事裁判が必要か」を判断します。
起訴されると、刑事裁判となり被疑者は被告人となります。裁で有罪か無罪かを裁判官が判断して有罪の場合は刑事罰の量刑も判断されます。
日本では起訴されると99%以上が有罪判決となるため、ここで起訴されるかどうかがひとつの分岐点となります。
不起訴と起訴猶予
不起訴とは、「今回の事件については刑事裁判はしない」と検察が判断するというものです。被疑者が犯人であると断定できない場合は嫌疑なしや嫌疑不十分となります。そして、犯行はしているものの被害者との示談が成立していて、本人も反省している。そして、被害が小さい場合は不起訴となるケースもあります。

赤井耕多
不起訴になると前科がつきません。
そして、 起訴猶予処分は、罪を認めていることを前提としています。不起訴と同じように刑事裁判には移行せず釈放となります。
✅起訴されるかどうかは、被害者との示談の成立、反省の程度、初犯かどうかが極めて重要な判断要素となります。
初犯でも起訴される可能性はある
逮捕されても、「初犯だから大丈夫」「実刑にはならないだろう」などと安易に考えるのは非常に危険です。
窃盗は刑事裁判になる可能性がある犯罪ですし、窃盗事件では、被害の大きさや示談の有無によって、初犯であっても起訴されるケースがあります。
起訴の判断基準と有罪となった場合の処分の可能性について解説します。
犯行の内容が悪質
複数回にわたる犯行、組織に計画して行われている窃盗など、犯行の内容が悪質であると判断された場合は、初犯でも起訴される可能性が高まります。
同じ窃盗でも、被害の程度や犯行に至った経緯、そして、どうやって行われたのかはケースバイケースです。単に「初犯だから」というだけで不起訴ということにはなりません。
示談が成立していない
窃盗罪で起訴するかどうか判断する場合には、被害者との示談も考慮されます。被害者との示談が成立しているかどうかは検察官にとって極めて重大な判断材料となります。
示談が成立していないということは「被害回復がなされていない」「被害者が納得していない」ということでもあるのです。
ここで、検察が重視するのは「被害感情」と「社会的責任」です。
・被害者が処罰を望んでいるか
・被害金額が補償されているか
・本人が誠実に反省し謝罪しているか
・再犯のリスクの程度
検察官が起訴するかを判断する材料のひとつが示談なのです。成立していない場合は、検察官は「起訴して裁判所での判断に委ねる」判断に傾く可能性があります。
実際に、示談の交渉ができないままで未成立のまま起訴された事例もあります。
被害金額が大きい
被害額がどのくらいかもポイントになります。前述したとおり、窃盗罪が成立するかどうかについての被害金額は関係ありません。ですが、起訴するかどうかの判断をする場合は、被害の程度が考慮されます。被害金額が大きいほど、起訴される可能性が高くなります。
起訴されると有罪になる可能性は99%
日本の刑事裁判では、一度起訴されると統計上99%以上の確率で有罪判決となります。そのため、まずは、起訴されずに不起訴や起訴猶予になるかがひとつのターニングポイントといえます。
もちろん、この有罪の中には実刑だけでなく罰金刑や執行猶予付きの判決も含まれています。
執行猶予について
執行猶予とは、懲役や罰金などの刑が一時的に猶予されるというものです。
指定された期間内に、再犯なければ刑の執行が免除されるということになります。つまり、例えば懲役2年、執行猶予3年の場合は3年間真面目に過ごして問題がなければ、懲役2年の刑が免除になるということです。初犯であれば、この制度が適用される可能性は十分にありますが、かならず執行猶予がつくというものではありません。
前科はつくのか?
ここで前科について解説したいと思います。「前科がついてしまうのか」は今後の社会生活を送る上で極めて重要です。
前科は有罪判決を受けた経歴
前科とは、刑事裁判で有罪となった経歴のことです。執行猶予付きの判決でも、有罪であるため前科となります。
執行猶予はあくまでも「刑の執行が免除された」だけであって、無罪ではないのです。
微罪処分の場合は前科はつかない
警察の取り調べの段階での微罪処分や検察での不起訴処分となった場合、有罪判決を受けていないため前科はつきません。ですが、前歴として警察に記録が残ることには注意が必要です。
初犯の場合は示談の有無が不起訴のカギに
刑事事件では、示談の成立が処分に大きく影響するケースは多くあります。窃盗事件でも、被害者との示談が不起訴や執行猶予になるか実刑になるのかのポイントとなります。示談交渉が持つ意味や、被害者が応じない場合の対応についても詳しくご紹介します。
示談が成立すれば不起訴となる可能性が上がる
示談が成立し、被害者が処罰を望まない旨を述べている場合、不起訴処分となる可能性が高くなります。特に初犯であり前科なしであれば、示談が成立しているという事実は、起訴するかどうかの判断や、刑事裁判で執行猶予がつくかという重要な判断をする場合に非常に大きな意味を持ちます。
示談に応じない相手でも賠償はできる
被害者が示談に応じないケースでも、弁護士を通じて損害賠償金を支払う交渉は可能です。これにより、反省と誠意の証明となり、処分に影響することがあります。
反省することも重要
きわめて当然のことですが、供述調書や意見書には「反省の態度」が記録されます。つまり、形だけでなく、心からの反省と再発防止の意思を持つことが大切です。
反省していて、初犯であり、かつ被害金額が少なく、示談が成立しているということになれば、微罪処分の可能性や不起訴の可能性が高くなります。
逮捕される前に自首するケース
事件が発覚する前に自首した場合、処罰が軽減される可能性があります。窃盗をしてしまった・・・という場合は、逮捕を待つのではなく自首することで、刑が軽くなるかもしれません。少なくとも、自首したという事実がマイナスに働くことはありません。
西船橋ゴール法律事務所では自首をするのが不安な方向けに、自首同行サービスも行っています。
窃盗事件で弁護士に依頼するメリット
窃盗事件において、早期に弁護士を依頼することは、事件の行方を大きく左右するだけでなく精神的な支えにもなります。弁護士の介入により、示談交渉がスムーズに進むだけでなく、認められた権利の範囲内で有利にことを進められるかもしれません。
示談交渉が成立しやすい
弁護士という法律の専門家が加害者と被害者の間に入ることで、感情的にならずに冷静な交渉がしやすくなります。
示談交渉がスムーズにすすめば、その分だけ刑事手続きでの心象もよくなります。
法律的なアドバイスを受けられる
窃盗罪で逮捕されて不安な中で弁護士という存在は精神的な支えにもなります。
弁護士は、ただ交渉や弁護をするというものではなく、刑事手続きの流れや示談のタイミング、起訴の判断基準など、一般の方には分かりづらい刑事手続きに精通しているため、的確にサポートしてくれます。
また、弁護士は窃盗罪で逮捕された場合でも「依頼人の利益のため」に弁護を行い交渉をするという立場であるため、逮捕されたという緊急時において最も頼れる存在となります。
まとめ
窃盗は初犯であっても、前科がつく可能性が十分にあります。刑事事件において、被害者との示談が成立しないケースでは、起訴されて有罪となり、実刑という流れになることもあり得ます。
しかし、初犯で前科がなく、真摯に反省の姿勢を示して、示談をすれば不起訴や執行猶予といった判断が下される可能性もあります。
「窃盗くらい大丈夫だろう」と軽く考えず、不安がある場合は、早めに弁護士に相談しましょう。