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盗撮事件で執行猶予を獲得するには?弁護士が教える3つの方法

盗撮事件で執行猶予を獲得

盗撮事件で裁判を受ける際、実刑になるのか、執行猶予になるのかはその後の人生に大きく影響します。

盗撮で執行猶予を獲得するためにできることを専門家の視点で詳しく解説します。

この記事でわかること

・盗撮とはどんなものか  
・盗撮を取り締まる法律
・法令  
・盗撮で執行猶予を獲得する方法

「盗撮」とは何か?

盗撮とは、相手の同意を得ずに隠れて容姿などを写真や動画に撮影することです。

特徴は、相手が公的の場や私的な場にいるのを問わず相手の知らないところで撮影が行われ、撮影者に明確な意図と隠匿性を持って行われていることです。

撮影方法は通常スマホ、小型カメラ、隠しカメラ、ドローンなどのデバイスや機器を使って撮影されます。

動機はさまざまで、単なる軽い気持ちや好奇心やスリルを求めるものから、性的な欲望を満たすため、商業的な利益(違法なコンテンツの販売など)を得るため、あるいは相手への嫌がらせや復讐や支配や脅迫や恐喝の手段として行われています。

その本質は被撮影者の同意を得ずに、プライバシーや尊厳を無視する行為であることです。

弁護士
赤井耕多

現在盗撮は、撮影用デバイスが身近にあることと、行為の手軽さから、誰でも気軽に簡単に行える行為になりつつあります。

法的に問題になる盗撮の事例とは?

近年、スマホなどの撮影用デバイスの普及で、誰もが手軽に撮影ができるようになりました。

その一方で、悪質な盗撮行為が後を絶ちません。

法的に問題になる盗撮とは次のようなケースです。

法的に問題になる盗撮

・階段やエスカレーターなどでのスカートの中の撮影

・トイレや更衣室などに隠しカメラを設置しての撮影

・望遠レンズやドローンを使った露天風呂内の撮影

これらのケースは巧妙な手口で下着や裸を撮影し、証拠を残さないように、あるいは残りにくくしながら、盗撮されていることに相手が気付かないまま行われています。

盗撮された側はまさか自分が盗撮されていたとは思わず、後になって事実を知った時の衝撃と精神的な苦痛が大きいため、悪質な行為と評価されてしまいます。

盗撮を取り締まる法律・法令とは?

こちらでは盗撮を取り締まる法律・法令について解説します。

①軽犯罪法

盗撮は軽犯罪法違反に該当する可能性があります。

弁護士
川口晴久

軽犯罪法とは、文字通り軽微な犯罪に対して処罰する法律のことです。

※軽犯罪法の目的は国民の日常生活における軽微な秩序違反行為を防止することで、重大な犯罪の予防にもつながります。

盗撮は軽犯罪法第1条第23号「窃視(のぞき見)の罪」に該当する可能性があります。

【盗撮】軽犯罪法での罰則

盗撮での軽犯罪法の刑罰は1日以上30日未満の拘留、または1,000円以上10,000円未満の

科料

②各都道府県の迷惑防止条例

盗撮は各都道府県の迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。

※各都道府県の迷惑防止条例とは、公共の場での迷惑行為を取り締まるために地方自治体が独自に定める身近なルールのことです。刑法でカバーしきれない軽微な迷惑行為を補完的に規制することができます。

盗撮は東京都迷惑防止条例五条一項二号のイ・ロに該当する可能性があります。

具体的には、

①公共の場所または公共の乗物において、人の下着または身体をカメラなどで撮影すること

②撮影する目的でカメラを向けること

③撮影する目的でカメラなどを設置すること

などの3点です。

公共の場で相手の同意を得る事なく、下着姿や身体を撮影することは迷惑防止条例違反に該当する可能性が高いです。

【盗撮】迷惑防止条例の罰則

1年以下の懲役または100万円以下の罰金(東京都・千葉県迷惑防止条例違反)

③撮影罪

盗撮は撮影罪違反に該当する可能性があります。

撮影罪とは、正当な理由がなく、相手の同意を得ずに、性的な姿態を撮影したことへの罪のことです。

弁護士
赤井耕多

撮影罪の正式名称は「性的姿態等撮影罪」といいます。

性的な姿態とは次の3点です。

・性に関わる部位(性器、おしり、胸など)  

・下着(性に関わる部位を覆っている下着など)

・淫らな行為や性交、性交類似行為など

【盗撮】撮影罪の刑罰

3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

④住居侵入罪・建造物侵入罪

盗撮は住居侵入罪・建造物侵入罪違反に該当する可能性があります。

住居侵入罪・・・正当な理由がなく他人の住居(邸宅・建造物・艦船など)に侵入する罪のこと

建造物侵入罪・・・正当な理由なく他人の管理する建造物(店舗、公共施設、学校など)に侵入する罪のこと

盗撮をする目的で、住居や店舗、ホテル、学校などへ侵入した場合、住居侵入罪・建造物侵入罪が成立します。

弁護士
川口晴久

盗撮を目的とする場合、侵入行為自体が「正当な理由」を欠くため、住居侵入罪・建造物侵入罪の成立要件が満たしやすくなります。

【盗撮】住居侵入罪・建造物侵入罪の刑罰

3年以下の懲役または10万円以下の罰金

⑤児童ポルノ禁止法

盗撮は児童ポルノ禁止法違反に該当する可能性があります。

児童ポルノ禁止法・・・児童買春や児童ポルノ製造・所持・提供などを規制し、児童の性的搾取や虐待を防止し、児童の権利を擁護する法律のこと

盗撮した相手が18歳未満の児童であり、かつ児童ポルノ禁止法上の「児童ポルノ」に該当する場合は児童ポルノ禁止法違反になります。

【盗撮】児童ポルノ禁止法の刑罰

3年以下の懲役または300万円以下の罰金

盗撮で現行犯逮捕された後の流れ

盗撮という行為が露見すると、被害者や目撃者によってその場で取り押さえられ、その後警察官に引き渡されるという形で逮捕に至るケースが多いです。

では、盗撮で逮捕されるとその後どうなるのでしょうか。

こちらでは盗撮で逮捕された後の刑事裁判までの流れについてご紹介します。

逮捕の流れ

盗撮で逮捕されると刑事裁判で裁かれるのか?

盗撮で逮捕されても、必ずしも刑事裁判で裁かれるわけではありません。

刑事裁判に進むケースは、逮捕後に検察官が事件を起訴するだけの理由があると判断したケースに限って刑事裁判が開かれます。

その理由として盗撮事件などは、比較的軽微な犯罪であると考えられているからです。

弁護士
赤井耕多

そのため、刑事裁判が開かれずに不起訴になる可能性が十分にあります。

不起訴になると刑事裁判は開かれません。また前科もつかずに、事件はそこで終了します。

不起訴になりやすいケースは次の通りです。

不起訴になりやすいケース

・初犯であったこと

・被害者と示談が成立していること

・盗撮したことを認め反省していること

・悪質性がなかったこと

・盗撮者の社会復帰の見込みや更生の可能性があること

※不起訴にならなかった場合、略式裁判を求める略式起訴か、通常の刑事裁判を求める正式起訴のいずれかの起訴がされます。

盗撮事件で略式裁判になるケース

略式裁判・・・通常の裁判とは異なり、検察官が簡易裁判所に請求することで書面による審理のみで完結する簡易な刑事裁判手続のこと

盗撮事件で略式裁判になるのは、これまで盗撮の前科がなく、盗撮の被害者との示談が成立しており、盗撮に関して悪質性がなく、事件に関して反省をしているなどのケースです。

弁護士
川口晴久

これらの条件が揃うと、検察官が通常の公開裁判ではなく略式手続を選択する可能性が高まります。

ただし、必ず略式裁判になるわけではありません。

検察官の裁量や裁判所の判断に委ねられるため、ケースバイケースです。

略式裁判の特徴

・裁判を受けるための裁判所へ出廷する必要がない

・有罪判決が確定すれば罰則が執行され、前科が付くことになる

・罰則は100万円以下の罰金か、1,000円以上1万円未満の科料のみ

「罰金」か「科料」のいずれかについては、事案の内容が重ければ罰金刑になり、軽微であれば科料になり、裁判官が事案の軽重に応じて選択する流れです。

盗撮事件で刑事裁判(正式裁判)になるケース

盗撮事件は軽微な犯罪であるため、不起訴処分となったり、略式裁判という簡易な手続きで終結したりするケースが大半ですが、刑事裁判に進むケースもあります。

刑事裁判・・・裁判所が公開の法廷で、被告人が起訴された事件について証拠調べや被告人質問などを行い、厳格な手続きに基づいて判決を下す裁判のこと

盗撮事件で裁判になるケース

・盗撮の事実を否定している場合

・過去に前科があり、同じような犯罪が繰り返されている場合

・被害者数が多く、社会的影響が大きい場合

・盗撮した画像や動画を発信・拡散し二次加害行為が確認された場合

・犯行の手口が悪質で計画的・組織的であったり、被害が大きい場合

これらのケースに該当する場合、略式裁判では不十分と判断され、公開の法廷で詳細な事実関係が審理されることになります。

盗撮事件での刑事裁判においての判決

盗撮事件での刑事裁判の判決は、被告人が起訴された内容について有罪か無罪かを判断するものです。

有罪の場合には、罰金刑・懲役刑の実刑・執行猶予付き懲役刑が言い渡されます。

こちらでは盗撮での刑事裁判においての各判決について解説します。

①罰金刑

盗撮事件で有罪判決を受けた場合、罰金刑が科されることが一般的です。

理由は、迷惑防止条例などが罰金刑を規定し、犯罪が軽微で初犯や反省が見られる場合、裁判所の量刑基準や社会的制裁を考慮して罰金が適切と判断されるためです

罰金刑とは、刑事事件で有罪が確定した場合に被告人が国に一定の金額を納付する刑罰であり、納付により刑の執行が完了する刑罰です。

②懲役刑の実刑

盗撮事件で有罪判決を受けた場合、被害が大きく / 悪質性が高 / 再犯の可能性がある場合には懲役刑の実刑が科される可能性があります。

懲役刑の実刑・・・刑事事件で有罪が確定し懲役刑が言い渡され、刑務所に収監され服役する刑罰のこと

懲役刑の実刑判決が確定すると、被告人は判決内容に従い定められた期間、刑務所に収監され社会から隔離された生活を送ることになります。

③執行猶予付き懲役刑

盗撮事件で有罪判決を受けた場合、再犯の可能性が低く、情状酌量の余地がある場合に裁判所の裁量により執行猶予付き懲役刑が科されることがあります。

執行猶予付き懲役刑・・・刑事事件で有罪が確定し懲役刑が言い渡された場合に一定期間、刑の執行を猶予される制度のことです。

弁護士
赤井耕多

執行猶予が付いた判決のことを「執行猶予付き判決」といいます。

④無罪

盗撮で逮捕され、刑事裁判になっても、盗撮行為が成立しなければ無罪になる可能性があります。

無罪とは、刑事事件で被告人が犯罪を犯したと認められない場合、また証拠不十分で被告人の罪が立証されなかった場合に下される判決のことです。

無罪判決が確定した場合、被告人は直ちに釈放され、前科もつきません。

ただし無罪判決が出たとしても、社会的な誤解や偏見に苦しむ可能性も否定できません。

執行猶予付き判決とは?

執行猶予付き判決とは、裁判で有罪判決を受けた被告人に対し、一定期間、刑の執行(刑務所に行くことなど)を猶予する制度のことです。

この場合の刑の執行とは、懲役や禁錮などの自由刑を実際に受けることを指します。

執行猶予期間は通常3〜5年です。

執行猶予期間中に問題を起こさずに過ごすことができれば、刑が執行されないまま完了します。

ただし執行猶予付き判決を獲得するにはいくつかの条件があります。

盗撮事件で執行猶予付き判決を獲得する3つの方法

盗撮事件で有罪となる可能性が高い場合、被告人にとって重要な目標の一つとなるのが、実刑判決を避け、社会内での更生を目指すための執行猶予付き判決の獲得です。

執行猶予付き判決を獲得できれば、社会生活を維持しながら更生の機会を得られるため、被告人にとって社会復帰への重要な足がかりとなります。

こちらでは執行猶予付き判決を獲得する方法について解説します。

①被害者との示談の成立

被害者と示談が成立し、被害者に対する損害が填補されれば、被告人の刑事裁判における立場は非常に有利になります。

弁護士
川口晴久

これにより執行猶予付き判決の可能性が高まる場合があります。

なぜなら示談の成立が被告人の反省や被害者への誠意を示す一つの要素として、裁判所に評価されるからです。

また高額な示談金が支払われた場合、被害者が「加害者からの十分な補償を受けた」と感じ、処罰を求めない意向を示す可能性が高くなります。

盗撮事件の場合、示談金には慰謝料のような要素が含まれます。

②再犯のリスクが低いことをアピールする

被告人が再犯のリスクが低いことをアピールすることは、被告人の刑事裁判における立場は非常に有利になります。

真摯に反省し、犯罪の原因を深く理解した上で、再犯防止に向けた具体的な取り組みを表明することは、裁判官に「社会内での更生が可能」と認められる重要な要素です。

これらのアピールは、執行猶予付き判決を得る上で有利に働く可能性があります。

③有利な情状を積み重ねる

被告人が有利な情状を積み重ねることで、被告人の刑事裁判における立場は非常に有利になります。

具体的には初犯であること、社会的制裁を受けていること、仕事や家庭が安定していること、事件後に社会貢献を積極的に行うことなどを提示することです。

これらの情状を積み重ねて提示することで執行猶予付き判決を得る上で有利に働く可能性があります。

盗撮に関する法改正【性的姿態撮影等処罰法

2023年7月13日から盗撮に関する新しい法律が施行されました。

拘禁刑は2025年6月1日から施行されます。

この法律の略称は「性的姿態撮影等処罰法」といいます。

目的は個人の意思に反して性的な姿態を撮影されたり、その記録が拡散されたりすることによる重大なプライバシー侵害や精神的被害を防ぐことを目指していることです。

性的姿態撮影等処罰法のポイント

・行為ごとに異なる法定刑が定められている

・全国一律で盗撮や関連行為を厳罰化できる(迷惑防止条例を補完・強化する全国一律の法律)

・「盗撮罪」ではなく「撮影罪」と呼ばれ、同意のない撮影全般を広く対象にしている

盗撮事件での執行猶予に関するトピックス

盗撮事件での執行猶予に関するトピックスは「養女を盗撮した動画をSNSで共有した男に懲役2年、執行猶予4年の判決」について解説します。

この事件は2025年4月16日名古屋地裁一宮支部の判決によるものです。

容疑内容は、2024年1~2月の間、自宅の浴室や脱衣室に仕掛けた小型カメラで、当時14歳だった妻の娘の裸を7度撮影し、その動画データを2024年11月にSNSグループの別の参加者にダウンロードさせる形で提供したという疑いです。

執行猶予が付いた理由は次の通りです。

・被害者との示談が成立したこと

・初犯だったこと

・更生の可能性があること

まとめ

今回は盗撮事件で執行猶予を獲得する方法について解説しました。

盗撮事件においても、いくつかの要件を満たすことができれば有罪判決を受けながらも、執行猶予付き判決を獲得することは十分可能です。

ただし執行猶予付き判決の獲得は簡単ではありません。

盗撮事件で執行猶予付き判決の獲得を目指す場合には、弁護士への早期での依頼が重要です。

盗撮で逮捕された際に弁護士に相談するメリット

弁護士に相談することで次の3つのメリットを得ることができます。

弁護士に相談するメリット

・早期に釈放されるための活動を行ってくれる

・被害者との示談交渉を代行してくれる

・執行猶予付き判決を獲得するための戦略の構築とサポートを行ってくれる

盗撮事件でご自身やご家族が逮捕された・逮捕されそうな方は、お一人で悩みを抱えず、⻄船橋ゴール法律事務所の弁護士にご相談ください。

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