「不同意わいせつ事件」|示談金の相場や交渉の注意点は?弁護士が徹底解説 |千葉船橋で刑事事件を弁護士に相談

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「不同意わいせつ事件」|示談金の相場や交渉の注意点は?弁護士が徹底解説

 

「不同意わいせつ事件」|示談金の相場や交渉の注意点は?弁護士が徹底解説

不同意わいせつの罪に問われている場合、早期の示談交渉が重要です。

逮捕や起訴に至ると社会的にも大きなダメージを受けるため、弁護士による示談交渉で早期の示談成立を目指す必要があります。示談交渉はご自身やご家族が対応するのではなく、第三者である弁護士におまかせください。

 

目次

不同意わいせつ(旧強制わいせつ)とは

 

不同意わいせつとは、相手が同意していない、あるいは意識を失っているなど、同意を示せる状況ではないにもかかわらず、わいせつな行為を行うことを意味します。

 

この章では不同意わいせつについて、どのような事例が該当するのか詳しく解説します。また、旧強制わいせつや不同意性交との違いも解説します。

 

不同意わいせつに該当する主な事例

 

不同意わいせつ罪は刑法第176条で規定されています。

 

では、具体的にどのような事例が該当するのでしょうか。以下のような事例は、不同意わいせつに該当するおそれがあります。

 

・マッチングアプリで出会ったばかりの相手に対し、強引に車内で性行為をした

・泥酔して返事がない相手を自身の部屋に連れ込み、下着の中に手を入れた

・部下が嫌がったが、強引に胸やお尻を触る行為をした

・20歳以上の人が、15歳の子と(同意ありでも)わいせつ行為をした

 

弁護士 赤井耕多
弁護士 赤井耕多
暴行や脅迫による行為だけではなく、上司と部下のように上下関係を利用し拒否することが難しい状態で行為に及んだ場合も、不同意わいせつ罪に問われ逮捕された事例もあります。

旧強制わいせつ罪との違い

 

不同意わいせつ罪は2023713日に刑法改正によって「強制わいせつ罪」から名称が変更されました。なお、同タイミングで準強制わいせつ罪についても、不同意わいせつ罪へと統合されています。

 

旧強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪との違いは主に以下のとおりです。

 

成立要件

旧強制わいせつ罪は13歳以上の人へ「暴行または脅迫」によってわいせつな行為をした場合に罪に問われていました。(13歳未満の人へはわいせつ行為の時点で成立)

不同意わいせつ罪では暴行または脅迫だけではなく、相手が同意していないわいせつ行為も成立するようになりました。

刑罰と公訴時効

 刑罰

旧強制わいせつ罪における刑罰は「6月以上10年以下の懲役刑」とされていました。

不同意わいせつ罪では「6月以上10年以下の拘禁刑」とされています。不同意わいせつ罪には罰金刑はありません。

 公訴時効

公訴時効についても変更があり、旧強制わいせつ罪では7年でしたが、不同意わいせつ罪では公訴時効が12年とされています。

 性交同意年齢

【旧強制わいせつ罪】

13歳未満の者に対するわいせつ行為は、同意の有無にかかわらず自動的に処罰の対象でした。

つまり、性交同意年齢は実質的に13とされていました。13歳以上の場合は、暴行・脅迫などがなければ罪に問われないことがあり、同意があれば処罰されませんでした。

この低い性交同意年齢(13歳)は、国際的に非常に低いとされ、日本は長年批判を受けてきました。

 

 【不同意わいせつ罪】

不同意わいせつ罪では性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられました

16歳未満の者に対する性交やわいせつ行為は、「暴行・脅迫」や「同意」があっても原則として処罰の対象となります。

 

※例外あり
5
歳以内の年齢差がある場合(例えば15歳と18歳の交際)は、処罰対象から除外されます。これにより、年齢の近い未成年者同士の合意による性行為が不当に処罰されることを防いでいます。

 

不同意性交等罪との違い

 

「不同意性交等罪」とは、不同意わいせつ罪と同じく20237月の刑法改正により新設された犯罪類型です。従来は「強制性交等罪」(旧刑法177条)に該当します。

不同意わいせつ罪と不同意性交等罪の違いは「性交等」にあります。性交等とは、以下の行為を指します。

 

・性交

・肛門性交

・口腔性交

・膣・肛門に身体の一部(陰茎を除く)または物を挿入する行為であってわいせつなもの

 

これまで④の行為についてはわいせつ行為に含まれていましたが、刑法改正後が性交等に含まれることになりました。

 

不同意わいせつで示談が重要となる3つの理由

 

ここからは、不同意わいせつに該当するおそれがある行為を行ってしまった方や、そのご家族向けに示談が重要となる理由をわかりやすく3つに分けて解説します。

 

1.早期の示談交渉で刑事事件化や逮捕を防ぐ

 

もしも不同意わいせつ事件を起こしてしまい、行為について認めている場合には被害者側へ示談交渉を行うことが大切です。

まだ逮捕されていない段階で示談が成立した場合、在宅捜査を受けるなどの刑事事件化を防げる可能性があります。

また、すでに捜査を受けていても示談が成立していれば逮捕を防げる場合もあります。

 

2.逮捕後であっても不起訴処分となる可能性がある

 

不同意わいせつ罪に問われすでに逮捕されている場合でも、早期に示談交渉を行うことで、長期の勾留を回避できたり、釈放される可能性があります。加えて、不起訴処分が得られる可能性も高くなります。不起訴になれば前科は付きません。

弁護士 川口晴久
弁護士 川口晴久
また、起訴されてしまっても示談交渉が成立した場合、実刑を回避し執行猶予の判決となる可能性もあります。

 

3.解雇や退学など社会的な影響を抑える

 

逮捕・起訴の事実を加害者の周囲が知ることで、会社を解雇されたり、学校を退学となるおそれがあります。

不同意わいせつ罪は罰金刑がないため、起訴されてしまうと公開で裁判を受けることになり、社会的な影響を受ける可能性は高いでしょう。

 

しかし、示談交渉が成立すると刑事事件化・逮捕を回避したり、逮捕後であっても不起訴処分や判決内容が軽くなるなど、加害者(被疑者・被告人)の刑事処分が軽くなる可能性があります。

早期の示談交渉は社会的な影響を抑制し、生活を守る効果もあるのです。

 

不同意わいせつにおける示談交渉の流れ

 

不同意わいせつ事件の加害者側となった場合、被害者側と示談交渉を進める際にはどのような流れで行われるでしょうか。

解決までのステップを紹介します。

 

弁護士が被害者の連絡先を捜査機関側に確認する

 

不同意わいせつ罪だけではなく、刑事事件では被害者側と示談交渉を行いたい場合は「弁護士」が被害者側に接触します。

 

不同意わいせつでは、時に見知らぬ方にわいせつ行為を働くケースがあります。示談交渉をしたくても氏名や連絡先が全くわからないケースも少なくありません。このような場合、弁護士が弁護人として選任された後に、警察等の捜査機関側に被害者側の連絡先を教えてもらえるかどうか確認します。

 

捜査機関側から被害者側に、連絡先を求められていることを確認し、被害者の同意を得られれば捜査機関側から被害者の連絡先が弁護士に開示されます。

 

弁護士が被害者側へ示談交渉を開始する

 

連絡先がわかったら弁護士から被害者側へ連絡し、示談交渉を開始します。もちろん、示談交渉は謝罪をともなうもので、被害者側のお気持ちに沿った交渉を行います。

電話、メール、対面など示談交渉の方法もできる限り被害者側のご意向に沿います。

弁護士は接見を通して加害者側(被疑者・被告人)側に示談内容や示談金がいくらまで支払えるかなどを確認します。その後、被害者側に提案できる示談内容を提示し、交渉しています。

 

示談が成立したら示談書を作成する

 

被害者側の同意が得られ、示談が成立したら 示談書を弁護士が作成します。示談書は1通は被害者側へ、もう1つを加害者側が控えるため2通作成されます。

不同意わいせつ罪の場合、被害者側への連絡や接触を禁止する条項を入れたり、被害者の情報が特定されないように作られることが一般的です。また、示談金の支払い方法なども記載されます。

示談交渉の内容によっては、示談成立をもって被害届・刑事告訴を取り下げてもらえることがあります。(起訴後は示談交渉が成立しても刑事告訴を取り下げることはできません)

しかし、示談には応じても被害届・刑事告訴を取り下げることは、被害者側が拒否するケースもあります。ただし、それでも示談書が取り交わされると被害者側が許してくれた証拠として検察や裁判所等へ提出できるため、刑罰が軽くなる可能性があります。

 

示談金の支払いを行う

 

示談金を弁護士から被害者側へ送金します。示談金の支払いが完了すると、示談書の内容によっては被害届・刑事告訴が取り下げられます。

支払いが完了したら、弁護士は捜査機関側に示談完了を報告し、示談書の写しを証拠として提出します。

 

不同意わいせつにおける示談金の相場と支払い方法

 

不同意わいせつの示談交渉では、示談金を被害者側へ支払うことが一般的です。この章ではでは、示談金の相場と支払い方法はどのようなものでしょうか。

 

示談金の相場の目安は50万~100

 

不同意わいせつにおける示談金の相場は、一般的に50万円~100万円程度とされています。しかし、被害者の年齢や受けた被害の内容などによっては、100万を大きく上回る金額になる傾向もあります。示談金には「慰謝料」の意味もあります。

 

たとえば、職場内の上司・部下の間で不同意わいせつが起きた場合、被害者側の部下は精神的な苦痛を受け退職せざるを得ないケースがあります。こうしたケースでは被害者へ高額の示談金を提案しなければ示談成立が難しいことも多いのです。

また、示談金をいくら高く提案しても、被害者が同意しなければ示談交渉は成立しません。

 

示談金は弁護士を通じて被害者に支払う

 

示談金は加害者、加害者側のご家族等から被害者に送金したり、手渡したりすることはありません。加害者を弁護する弁護士(弁護人)や法律事務所を通じて支払います。

 

どうしても示談金を用意できない場合はどうする?

 

加害者によっては示談金を用意できないケースもあります。一般的に示談金は早期解決のためにも「一括払」で交渉を進めますが、用意できない場合は分割払で交渉することもあります。

 

しかし、性加害に直面した被害者の多くは早く事件を忘れたいと願っており、支払いが長期間におよぶことを嫌がる可能性は高いでしょう。また、分割払は誠意が感じられないと考えたり、本当に示談金が支払われるのか不安を抱えてしまい、交渉が決裂する可能性もあるため、注意が必要です。

 

不同意わいせつの示談|知っておきたい注意点

 

不同意わいせつの示談を進めるにあたっては、加害者側の方こそ知っておきたい注意点があります。主な注意点は以下です。

 

加害者自身・加害者家族からは接触しない

 

示談交渉の流れにあるとおり、不同意わいせつの示談交渉は加害者側の弁護をする「弁護士」(弁護人)が依頼を受け行います。

わいせつ行為を行った加害者自身、あるいはそのご家族が被害者に謝罪をしようとしても、強く拒否される可能性があります。

さらに、その後の弁護士による示談交渉にも悪影響を及ぼすおそれもあります。

弁護士 赤井耕多
弁護士 赤井耕多
示談交渉は弁護士にまかせましょう。

被害者が示談に応じない可能性がある

 

示談交渉は被害者・加害者の双方の同意が必要です。そのため、被害者が同意しなければ示談交渉は成立しません。

また、不同意わいせつのような性加害の場合は捜査機関を通じても弁護士へ連絡先を教えてくれず、示談に応じてくれないケースもあります。

 

示談が成立しても逮捕・起訴に発展するケースがある

 

捜査段階で示談が成立していても逮捕・起訴に至る可能性はあります。不同意わいせつ罪は「非親告罪」であり、被害者が告訴していなくても悪質な行為や常習性が見られるケースでは、逮捕されることがあるのです。

また、起訴前に示談が成立しても起訴される場合もあります。示談の成立が100%の確率で加害者側の有利な結果につながるわけではないと知っておきましょう。

 

示談金が相場より高額になる可能性がある

 

示談金には法律で定められた明確な基準はなく、あくまでも本記事記載の金額は1つの目安に過ぎません。事件の内容によっては高額な示談金が必要となるおそれもあります。示談金については弁護士と話し合い、慎重に決める必要があります。

不同意わいせつは自首するべき?

 

「不同意わいせつの罪に問われる行為をしてしまった、自首するべき?」

「職場の部下に行った行為は、ひょっとすると不同意わいせつの罪に問われるかも」

不同意わいせつに該当するおそれがある行為を行ったら、自首するのが正解でしょうか。

 

自首によるメリット・デメリット

 

自首をすることで、逮捕を回避したり仕事や学業への影響を防ぐ効果はあります。しかし、すでに捜査が始まっていた場合はそのまま逮捕に至るケースもあり、デメリットはあると言えるでしょう。

 

ただし、被害者から被害届が出ていない場合は、事件化のリスクは低くなるためメリットは大きいでしょう。

弁護士は自首に同行できます。不同意わいせつかも…と悩んだらまずは弁護士へご相談されることがおすすめです。

 

まとめ 

 

不同意わいせつは被害者側の心情にも配慮しながら、慎重な示談交渉を行うことが重要です。示談交渉が遅れてしまうと、起訴や実刑につながるリスクが高まりますのでご注意ください。

 

在宅で捜査を受けている方も、ご家族が不同意わいせつの疑いで逮捕されている方も、早期に示談交渉の実績が豊富な弁護士へご相談されることが大切です。

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